「CareWiz」 AIでつながる、私たちの新しいケア。
はじめに
人と人を結ぶ城、ゆうきと申します。
株式会社エクサウィザーズ AIプロダクト事業部 CareWiz企画部 ハナストグループでプロダクトオーナーをしています。約3年前に「世の中を変える!法律を変える!」と入社時の挨拶で宣言したことを今も鮮明に覚えています。
その後、超高齢社会の1丁目1番地の社会課題の先兵として「CareWizを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」ことに挑んでいます。
そんな私自身の思いや熱意は、以前こちらでお話したのでご参照下さい。
最近、エクサウィザーズは会社というより、社会課題を解決する人たちのコミュニティであり、社会課題解決を熱意のみで挑める場所だと感じています。
「教えて、助けて」って声を上げたら(物理的な声だけじゃなくても)、二つ返事でOK!とサポートしてくれるコミュニティです。今回は、チームが目指すプロダクトビジョンや、直近でやりきる!これからやりきりたい!ことに加えて、カオスな組織やチームで働くワクワクについてお話しようと思います。
エクサウィザーズが提供するケアサービス「CareWiz」シリーズとは?
「CareWiz」は、一人ひとりが安心して歳を重ねられる社会、歳をとっていくことが楽しみになる社会、全ての人が自分らしく生活し人生を謳歌できる社会を実現するために、テクノロジーの力でDX推進し、ケアの現場にもっと多くの笑顔をつなげるサービスです。現在3つのサービスを提供しています。
①「CareWiz ハナスト」
「CareWiz ハナスト」は、「介護記録に”話す”ことを活かせないか?」という介護現場の声をもとに開発された介護記録AIアプリです。
介護サービス事業所・施設のご利用者様名と介助の内容を声に出して発話するだけで、AIが介護記録に関連する言葉だけを読み取り記録化します。また、株式会社ケアコネクトジャパンが提供する、全国12,000の介護サービス事業所・施設や障がい福祉サービス事業所で導入されている介護記録・請求ソフト「CAREKARTE(ケアカルテ)」と連携しています。そのため「CareWiz ハナスト」を使って声で記録をしたあとは、簡単に「CAREKARTE」にデータ連携でき、介護記録・情報共有・保険請求までを一気通貫で行うことができます。
②「CareWiz トルト」
「CareWiz トルト」は、「高齢者の歩行状態を科学的に理解したい」という介護現場の声から生まれた歩行分析AIアプリです。スマートフォンで5メートルの歩行動画を撮影してアップロードするだけで、2分後にはAIが分析結果をわかりやすいコミュニケーションシートにして表示します。動画に映っている人物の骨格抽出をすることで、歩く力を示す「速度」「リズム」、歩くバランスを示す「ふらつき」「左右差」といった4つの指標で歩行状態を分析します。
分析結果の表示画面には歩行状態が点数で可視化されるほか、どういった歩き方をしているか、転倒リスクがどれだけあるか、改善するにはどのような運動をしたらいいか等、介護従事者と高齢者の双方にとって役立つ情報が表示。解析結果(コミュニケーションシート)はそのままケアマネジャー(介護専門相談員)や家族にも簡単に共有することができます。
③「CareWiz 家族支援」
「CareWiz 家族支援」は、家族介護のお悩み解決アプリ動画でケア技術を学ぶことができます。ユマニチュードのケア技法を学べる解説動画の視聴機能、専門資格を持つユマニチュード認定インストラクターへの電話相談窓口、AIを利活用した検索による認知症関連サービスへのアクセス機能などの利用を通じて、家族介護における様々なサポートを受けることができます。
プロダクトビジョン
ここでは先日、産官学が参加する団体で優秀賞を受賞した「CareWiz ハナスト」を例にお伝えします。
私たちは「CareWiz ハナスト」を用いた社会課題解決を通じて、最大多数の幸福を実現することを目指しています。より多くの介護スタッフに「ハナスト 」を活用してもらうことで、介助に関わる時間やご利用者様と向き合いやりがいを感じる時間を創出できるよう専門性の向上を支援することを大切にしています。
直近でやりきる!こと
そのためにまずは、介護現場での深刻化が予測される人手不足に対応していきます。
例えば、スタッフ一人ひとりの生産性を向上させるため、ペーパーワークの電子化に必要なインフラ整備(WiFiやスマホ)。多くの介護現場が十分な環境を整えられておらず、必要な情報や補助金も行き届いていないため、導入支援の要望が相次いでいます。
しかし、介護現場のDXに関しては、国の問題意識も高く、介護DXを考えると国や業界団体が連携してテクノロジー活用による効果を最大化することは必要不可欠です。
だからこそ介護スタッフの間接業務負担を「声×AIの力」で軽減できるよう、施設全体の業務効率化だけでなく、スタッフさんとご利用者様が向き合う時間をさらに創出していきます。
「ハナスト」は音声認識だけではなく、介護記録に合わせたデータの構造化までAIで支援する点がこれまでの音声入力記録と異なります。これはエクサウィザーズが、介護記録の構造と介護現場のオペレーション、そして自然言語処理の活用などAI技術でできることを理解しているからこそ実現できたことです。
マーケットの声
「エイジテック2021アワード」優秀賞の評価
「導入事業者」株式会社スマイル 嘉山仁常務取締役の評価
これからやりきりたい!こと
介護の現場を次のステージへ導き、やりたかった介護を介護スタッフの皆様と一緒に実現します。
具体的には、介護ソフト事業者とのアライアンスや見守りセンサー機器との連携、国や業界団体への働きかけやロビイング活動などの企画。また、これまで人間にしかできないと考えられてきた勘や経験といった部分にAIを活用し見える化することで、誰もがバラつきなくケアを提供できる土台を支援したいと考えています。
その上でさらに、個別かつ専門性の高いケアを提供し支援する「人ができることを拡張させるAI」に着目して、構造化された介護リアルワールドデータを、AIにより解析したレコメンドやリマインドによる不適切ケア・事故予防、最高の介助のアシストにつなげていきます。
「海外展開予定はあるのか?」
もちろんあります。超高齢社会の社会課題は近い将来、世界中の課題になることが想定されています。課題先進国の日本でR&Dしたテクノロジー結果をグローバルに展開しなければならないと考えています。
日本より速いスピードで65歳以上人口の増加が進行する東アジア諸国やASEANのうち、介護に関して社会保険制度が設計されるであろう国や地域への展開可能性があると考えています。
カオスな組織やチームで働くワクワク
エクサウィザーズの組織は、組織図だけを見ると縦割りの組織に見えます。しかし、横に染み出していく前提で今のような組織体になっています。
だからこそ、自分の”Will”がある人にとっては、組織を上手く使いこなせばいろいろなリソースを活用できます。逆に受け身だと結果として自分がやりたいことが出来ません。
以前、組織の状況的に本当はメンバーが足りないのに、それを言わなかったことがあります。すると、社長の石山さんに「目的を最短で達成するために必要なことをしっかり伝えて欲しい」と言われました。いっときの遠慮が、中長期的に見れば周りに迷惑をかけることにつながる。むしろ積極的に助けを求めにいくことがエクサウィザーズでは大事である、と反省したことを覚えています。
メンバーが足りないとなれば、採用チームのメンバーも協力してくれます。腹落ちしたメンバーであれば、組織を横断してもスピード感を持って進められることは体感しています。
その分中途半端な気持ちではメンバーを口説けないので、一苦労する必要がありますが、「チームのメンタリティを合わせられなければ、社会課題を解決することはできない」と断言できます。
ハナストチームは、プロダクトビジョンに向かって役割や範囲を限定せず、やるべき事に対して足りない部分をチーム全員で補い合う「全員アジャイル体制」を採用しています。だからチームのウィザードたちは、プロダクトの各フェーズで人として成長し、その過程でさらにやりたいことが見つけ、さらに前へ進んで行くことができるのです。
ビジネスサイドには、私や秋葉さんのように介護領域で経験を積んできたドメインスペシャリストや、厚労省や業界団体とつながりのあるメンバーもいます。そのため、世の中の流れと現場のニーズを最先端で捉えながらプロダクトの展開ができます。
開発サイドには、メルカリでプロダクトのグロースを担当してきたプロダクトマネージャー(現アジャイルコーチ)の宮田さんと、デザイナーの佐久間さん。そして、自然言語処理のスペシャリストの大西さんやフルスタックエンジニアからエンジニアよりのプロダクトマネージャーへ転身した亀山さん、プロダクトの進化とともに急成長したUI/UXデザイナーのプロダクトマネージャー柿嶋さんが揃っています。ここには、熱意があればそれを実現できる環境があるのです。
スタートアップのカオス期におけるプロダクトマネジメントとチーム作りについて、宮田さんの話を思い出しました。
ここで、ドメインスペシャリストの秋葉さんが、日頃どんな思いで業務と向き合っているのかご紹介させてください。
そんなハナストチームで挑んでいる不確実への対抗策とは
まずは、ドメインスペシャリストが現場とチームの架け橋となり、仮説検証の打ち出す角度を上げること。そうすることで、失敗も成功も誰よりも早く判断できます。ECやゲームなど他のプロダクトでも、ユーザー調査から始めることが多いと思いますが、社会課題を解決する上では、この調査の重要度が高く、難易度も高いです。
現在は新型コロナウイルスの影響で現場に行くことができず、オンラインで調査を実施していますが、現場経験のあるドメインスペシャリストがプロダクト立ち上げに参加していることは、ユーザー調査の仮説検証サイクルを高速で回せる理由の一つです。
また、業界知識の有無がTAM(Total Addressable Market)やSAM(Serviceable Available Market)の推定精度にも寄与しています。
そして、打ち出す方向を決めたら、とにもかくにも仮説検証サイクルを回しつづけること。実際、「現場で何が課題解決なのか?」という私たちの思い込みは大体外れます。これはドメインスペシャリストの意見だったとしても例外ではありません。常に、仮説検証する姿勢が求められます。
最初から課題が明確で、ソリューションも「これを作れば良い」と決まっていればウォーターフォールに作れます。しかし、実際は現場を見極めながら柔軟に企画、開発していく必要があり、世の中の多くはアジャイルなスタイルが必要なのではないかと思っています。
なかでも、チーム作り(チームメイク)は重要です。以前チームでオンライン呑み会を行った時に比べると半分以上のメンバーが新たに加わり、メンバー数も増えました。プロダクトビジョンが鮮明になるにつれて、勝手にユニフォームを作ったりするなどチームの一体感とスピードが比例していると思う今日この頃です。
真正面から社会課題を解決する、と飾らず掲げている会社は珍しいのではないでしょうか。アジャイルな企画・開発スタイルを実現する上で、そこに共感したマインドのウィザードたちが集まっているのは最高の環境です。成功するかわからないのが前提にあるとはいえ、このメンバーなら成功すると信じています。
おわりに
私の両親は目の前の人への感謝やつながりを忘れない人です。その遺伝子が私にも回ってきているのか、つながりを重視するのは当たり前のことなんです。だから、介護領域に挑むのも人のつながりをつくるという側面で当たり前のことなんです。大きなことを言うようですが、世の中を背負っている、そんな心持ちで社会課題に挑み続けたいです。
やっぱり、”Will”が一番大切。自分がやらないと、日本が大変になると思って日々仕事をしています。私が諦めてしまうと、おそらく介護業界で世界最先端と言われるような機会が失われるだろうなと思っています。
「常に最先端のテクノロジーを求めていくことを諦めたくない」という話をしましたが、一生の仲間づくりというところも含めて、エクサウィザーズは面白い会社です。「これをやりたい!やりきりたい!」という強いパッションのある人、一緒に世の中を変えませんか?
明日は、石野さんにエクサホームについて書いていただく予定です。