産学官団体での受賞を機に、介護記録AIアプリ「CareWiz ハナスト」を多くの人に使ってもらいたい
エクサウィザーズの介護記録AIアプリ「CareWiz ハナスト(以降 ハナスト)」が2021年11月23日、産官学が参加する超高齢社会の課題解決を目指す産官学が参加する団体から、表彰を受けました。110社・団体以上の応募の中から、2番目に優れた「優秀賞」を獲得しました。
「ハナスト」は今年4月に提供を始めて、ビジョンに共感して採用する介護サービス事業者が出始めている。受賞と並行して、メディアの取材も増えており、市場拡大に向けて弾みがつきそうです。
主催は産官学が参加するウェルエイジング経済フォーラムで、2050年の超高齢社会における課題解決を目指して設立された団体です。外務省、特許庁、農林水産省、厚生労働省、総務省、財務省なども参加しています。今回、エイジテック2021アワードとして、最優秀賞1、優秀賞4、優良賞2の合計7社・団体が110社・団体以上の応募から選出されました。
AI介護記録アプリを知ってもらいたい
「ハナスト」の事業責任者であるCareWiz企画部 ハナストグループ グループリーダーの結城崇さんは「超高齢社会が進むと介護を受ける側がこれまで以上に増える。ハナストを利用することで、スタッフが1日8時間の業務の場合で、40分間も効率化できるというデータがある。今回の受賞でAI介護記録アプリの存在がさらに多くの人に知ってもらえたらと思う」と話します。
「ハナスト」は介護施設において、スタッフがスマートフォンとヘッドセットを使って、発話内容を記録できるスマホアプリです。スタッフが「○○さん、朝食、全量摂取完了」というようにヘッドセットに話すだけで、AIが介護に関連する言葉だけを読み取って自動でデータを介護記録に反映できます。スマホはポケットに入れておくだけです。介護作業の効率化だけでなく、データ分析による施設や法人全体の最適化などにも道が開かれます。
現場ですぐに使いこなせる
今回の受賞式には「ハナスト」を導入している神奈川県の介護施設事業者、スマイルの嘉山仁常務取締役も参加。急遽、表彰式の壇上にも上がっていただきました(写真)。嘉山氏は「現場のスタッフはハナストをすぐに使いこなせるようになり、作業時間の短縮などの効果が出ている。今は6箇所に導入しているが、状況をみながら利用を拡大していきたいと考えている」と評価します。また、結城さんによると、「スマイルで導入いただいた結果、86%の方が継続して利用したいもしくは満足している」と受け入れられています。
多くの介護現場ではスタッフが入居者の食事や服薬の状況など様々な情報を紙で記録・管理しています。ステーションなどに戻って記入する必要があり負担となっているのです。
記録は紙からパソコンやタブレットでの入力への電子化も進んでいますが、入居者への対応を中断しなくてはならないのは変わりません。「ハナスト」を利用することで、次の作業に向かって歩きながらヘッドセットから情報を記録できます。これが1日40分の効率化につながります。
結城さんは「ハナストの面白いところは、利用してくれた介護スタッフの皆さんが、何か不都合があっても『もう使いたくいない』ではなく、『こう改善してほしい』と前向きな提案をしてくれるところ。まだまだ進化していきたい。次の介護報酬の改定でケアの提供モデル(パッケージモデル)に入れていただくなどで、介護現場でのAI利活用のイノベーターとなり、もう一度最優秀賞でこの場に戻ってきたい」と締めくくりました。
なお、最優秀は高齢者とその家族をチャットボットでつなぐAIコミュニケーション支援サービスを開発するリクシス。バーチャルペットの「おせっかいネコ」が高齢者と家族の間を取り持って、普段の生活や悩み事などを共有できるようにしています。チャットボットはLINEを基盤として利用して開発しています。また、「ハナスト」と同様の優秀賞には、京大発ベンチャーのトレジェムバイオファーマも表彰されました。同社は永久歯が生えた後でも歯が生えることを促進する薬を開発しています。