ヒトを人間たらしめている「言葉」で、社会課題に挑みたい。幼少期から対話システムに魅了されたMLエンジニアの目指す、“良い行動で溢れる世界”
「人は、頭の中で『考えて』言葉を話します。そのため、画像や音などの分野に比べ、言葉というのは人間の認知機能が最も現れやすい部分だと思っています。僕はそんな言葉を分析し、対話システムに落とし込みたい」
「エクサウィザーズ」で活躍する“ウィザーズたち”を紹介するストーリー。
今回は、自然言語処理を専門とし、社会課題に挑むメンバーが登場します。
「あの対話システムをつくってみたい」 海外ドラマをきっかけに、自然言語処理の世界へ
「ナイトライダー」って海外SFドラマを、ご存知ですか?
アメリカで1980年代に放送されていたもので、主人公の探偵が車に搭載されたAIとともに難事件を解決していくストーリーで…。何を隠そう、このドラマの再放送を見たことが僕を自然言語処理へのめり込ませたきっかけでした。
ドラマに登場する対話システムに憧れて、中学、高校は科学部に。高校時代は、比重と屈折率の関係を組み合わせた液体性3Dディスプレイや、家電の3Dモデルを用いて理想の部屋をレイアウトし、稼働時消費電力や待機時消費電力からその部屋のエコ度を判定するソフトを開発。それぞれの開発チームで高校生が参加する大会に出場し、全国大会まで進みました。
開発すればするほど、自然言語処理への興味は深まるばかり。東北大学へ進学してからは、日本語の意味分類を研究していました。
例えば、SNSに自然言語処理を適用した「デマ検知アプリケーション」を開発。大学院では、炎上ツイートを事前に防ぐシステムを企画し、大学から予算をもらいながら開発をしていました。
そんな僕が、研究を続けずに「就職」した理由は、企業のほうが実運用していることもあり、生活の中で自然発生している行動や言語データが集まりやすいから。
いくつか見た企業のなかで、日本語入力システム「ATOK」や、通信教育サービス「スマイルゼミ」などの事業を手がけ、自然言語処理に使えるデータが多く集まっている「ジャストシステム」へ入社を決めました。
「社会にインパクトを与えるものか?」を問い、エクサウィザーズに辿り着く
ジャストシステムでは、自然言語処理の技術を活用し、広告出稿者向け支援サービスの機能提案や開発をしていました。
仕事自体はとてもおもしろかったのですが、次第に「自分がつくるものが、社会にどう影響するのか」を考えるようになりました。広告サービスの開発は楽しいけれど、今後も続けていくかどうかを考えると…自分はその先の未来を想像できなかったんですね。
そして、転職活動を開始。Wantedly経由で連絡をもらったのが、エクサウィザーズでした。
エクサウィザーズを選んだ理由は、大きく三つ。一つ目は、AI技術への理解が深いこと。二つ目は、多くの企業とのプロジェクトを通して、多様なデータに触れられる環境であること。三つ目は、さまざまな事業が同時並行で動きつつも、エクサウィザーズの基軸である「社会課題の解決」からまったくブレていないこと。
「ここなら、自然言語処理を通じて、社会にインパクトある仕事ができる」と思いました。
入社して驚いたのは、画像処理や音声など様々な専門分野の機械学習エンジニアが揃っていたこと。しかも、専門領域にとらわれず、お互いの専門性を組み合わせながらプロダクトに落とし込んでいる。複数分野に渡るデータの知識を持つエンジニアと協業できるのは嬉しいですね。
魅力的なのは、エンジニアだけではありません。他のメンバーもバックグランドが多種多様で、それぞれが自分なりの考えを持っています。そのため、議論になると意見が発散する時間が延々と続くことも(笑)。
職種によるメンバー間の垣根もないので、フラットに一つのアイデアをいろんな角度からブレストし、発展させられるのは、エクサウィザーズの面白さですね。
「技術を使える・理解している」と同じくらい大切なこと
現在、僕はNLPチームに所属し、機械学習によるモデル設計や、サーバーサイドの開発を担当しています。
NLPエンジニアとして日本語データを扱えるメンバーは、社内ではまだ少ないため、「窓口」として、自然言語処理で何ができるのか・どういった実装なら可能なのかをメンバーやプロダクトの導入を考えているクライアントに解説する役割を担う場合もあります。
様々なクライアントと相対して思うのは、ただ単に技術の使い方を理解しているだけではダメだということ。
機械学習をメインとするエンジニアにとっては当たり前かもしれませんが、機械学習をする上で大事なのは、データとの向き合い方です。
「そもそもクライアントからいただくデータが、現場の課題を解決するデータなのか」は常に自問自答しています。現場にあるデータは、整理整頓されていなかったり、現場の人も予測しないようなバイアスが強かったりと、コントロールが大変なことも。そうした場合にどうデータを見つけたり、扱うのかにも、エンジニアの手腕が問われていると思います。
エクサウィザーズでは、実際のデータや困っている声をエンジニアが知る機会も多いため、本当に現場が必要なサービスを作っていると実感しながら働けているなと感じています。
感情が最も表れる「言葉」を使って、人の行動をサポートするプロダクトを作りたい
僕は、人格や性格みたいなものはすべて「言葉」に表れると思っています。
人は、頭の中で「考えて」言葉を話します。そのため、画像や音などの分野に比べ、言葉というのは人間の認知機能が最も現れやすい部分だと思っています。僕はそんな言葉を分析し、対話システムに落とし込みたい。これが、僕が自然言語処理にこだわり続ける理由です。
自然言語処理は、現在は購買意欲をそそるための技術として、広告サービスに多く使われています。僕としては、言葉を使って人の行動を良い方向へとサポートするプロダクトをエクサウィザーズでつくりたいと思っています。
例えば、チャットボットに話しかけると一日元気に行動できるようになったり、休むべきときに休めるようになったり。そういった技術を実装したい。
自然言語処理や機械学習を、一般の方でも使えるようなプラットフォームを作れたら…とも思っています。エクサウィザーズ には介護やメンタルヘルス、人事領域など「言葉」を活かせる場面が多いので、やりたいことが膨らみますね。
一緒に働きたいのは、意図を持って技術選定できる人
自然言語処理において、最新技術を知っているだけでは、仕事で使いものにならなかったりします。というのも、最新の自然言語処理はデータ処理量が重すぎて、プロダクトにならないケースがあるからです。
なので、今後一緒に働きたいと思うのは、「自然言語処理の最新技術だけでなく、古典的な技術も知っているかどうか」、「アルゴリズムを本質的に見られるかどうか」の二つを大事にしている人。
論文上だけの精度ではなく、「なぜその技術を選ぶのか」までしっかり自分なりの視点を持っていることも大切です。
もちろん、エクサウィザーズが掲げる「社会課題の解決」に興味があるかも。そういった要素が揃っている人は、エクサウィザーズに向いていると思います。
一緒に言葉の力で社会課題を解決しましょう。
執筆:福岡夏樹 編集/写真:稲生雅裕