「もう、ここしかなかった」―社会課題の解決をテーマに、世界の人が共通で使うプロダクトをデザインで支えたい
「競争心や出世欲むき出しの人はいないので、変な足の引っ張り合いがない。あくまで『いいプロダクトをつくって、社会課題を解決したい』というモチベーションの人が多いんです」
「エクサウィザーズ」で活躍する“ウィザーズ”たちを紹介するストーリー。
今回紹介するのは、デザインチームでUIデザインを手がける佐久間さん。
UIデザイナーとしてミクシィで新規事業のアプリのデザイン、ヤフーでFinTech事業、ソウゾウ(メルカリグループ)でメルペイの立ち上げなどに関わってきた彼から見たエクサウィザーズとは。
ミクシィ、ヤフー、メルペイ。多彩なキャリアを重ねた日々
ーー佐久間さんはエクサウィザーズに入社するまで4社経験されていますよね。最初はWeb制作会社から動画検索サービスを手掛けるベンチャー企業に転職されています。どんな背景だったのでしょうか。
「クライアントワークから自社事業に携わりたい」というよくある理由でした。動画市場が伸びはじめていたので、「成長領域×事業会社」という軸で転職活動を行い、そこにたどり着いたんです。
同社には6年在籍し、複数のプロダクト開発に携わることに。中でも、ある動画アプリが300万ダウンロードを突破したときは、AppStore内で色々な国の人からコメントをもらったんです。世界中の人に自分たちが手がけたサービスが届いたことを実感して、めちゃくちゃ嬉しかったですね。
アプリの可能性を感じ再び転職を決意。目にとまった会社がミクシィでした。当時のミクシィは現在スマートニュースの執行役員を務める川崎裕一さんが取締役に就任したタイミング。スマホ市場に本格参入し、アプリの本数を2本から50本に増やす方針を打ち出していました。ここなら、複数領域でのアプリ開発ができると思ったんです。
ーーミクシィにてアプリを開発した中で一番の学びは何でしたか。
顧客理解についての新しい視点ですね。ミクシィには優秀なUXデザイナーが在籍していて、マーケットインの開発スタイルが主流になっていました。そのおかげで数多くのユーザー調査の機会に恵まれました。
これまで自分一人ではプロダクトアウトでのデザインが多かったのですが、ユーザー調査を繰り返す内に、自分は顧客をわかったつもりになっていたんだなと気づきました。「どんなデザインをすればユーザーに価値を提供できるか」により一層真剣に向き合うようになりましたね。
ミクシィの後は、ヤフーに転職し、その後メルカリグループのソウゾウに転職しました。ソウゾウに転職してからは、メルペイの立ち上げに携わっていました。事業が軌道に乗ると、グロースに向けた業務がメインとなり、「またゼロイチに携わりたい」と思うようになっていきました。
社会課題の解決に”本気で”向き合っていると感じた
ーーそれで、転職を考え始めたんですね。エクサウィザーズにはどんなきっかけで出会ったのでしょうか。
今もデザインチームで一緒に働いている宮田さんの紹介です。彼とはメルペイの立ち上げ時から関わりがあり、尊敬するメンバーの一人でした。ある日、彼がエクサウィザーズに転職すると聞いて、「どんな会社なんだろう」と色々と調べてみたんです。
「社会課題の解決」というキーワードから、最初は正直、NPOに近い会社なのかと思っていました。ところが、Forbesの「日本の起業家ランキング2020」で2位にランクインするほど、事業会社として実力のある企業だと知り、驚いた同時に、興味も湧いてきました。
宮田さんからも「社会課題を真正面から解決するプロダクトを今まさに立ち上げているところだ」と伺っていて、これまで挑戦してこなかった領域でのゼロイチに携われる点にも惹かれていきました
ーーその後他のメンバーとも話したり、面接もあったかと思います。入社の決め手となったのは?
デザインチームの皆さんと会食する機会をいただいて、今まで考えてこなかったユーザーの体験について議論を交わせたことですね。
例えば、AIをサービスに落とし込む際、どうしても数秒かかってしまう処理速度をユーザーに長いと感じさせないためのデザインや、介護施設で働くスタッフやお年を召した方などでも使いやすく納得感のあるデザインとは何かについてなどを話しました。
自分にとっては未知の領域だったので、奥深く感じたのはもちろん、皆さん永遠に議論しているんですね。本気で世の中を変えるデザインを考えているんだなと、感銘を受けました。
ミクシィで培ったユーザー目線で、ゼロイチに挑戦
ーー転職してからはどんなお仕事を?
介護士、理学療法士や作業療法士の方向けのアプリのUIデザインを手がけています。まだ、未リリースなので詳しいことは言えないのですが、AIを用いて、現場スタッフの方の負担を格段に下げるサービスになる予定です。
ーーこれまで関わってこなかった領域の仕事を進める上で難しかったことはありますか?
デザインを考えていく上で参考にできるプロダクトが少ないところですね。だから、何が一番響く価値なのかを常に見極めるようにしています。
いろんな機能を追加するほど使い方が難しくなると思いますので、沢山の機能を入れてリッチなサービスにしたい気持ちをグッとこらえながら、慎重に考えないといけないポイントだと思い、気をつけてデザインをしています。
ーー具体的にはどのようなデザインを心がけましたか?
サービスの価値がしっかりと絞り込まれ、体験がシンプルに伝わる様な、わかりやすいデザインの構築です。ご利用頂く現場の方々にとって、できるだけ負担が少なくなるように迷わないデザインを心がけました。このあたりのデザインは、これまでずっとto C向けのアプリに携わっていた経験が活きていると思います。
また、ユーザーの年齢や使用する環境や状況の条件が特殊なケースが多いため、ユーザビリティに最大限配慮できるようにデザインを心がけています。これまでは20〜40代向けのある程度ネットに慣れたユーザーを対象としたアプリを開発する機会が多かったため、初めての挑戦ではありますが、ミクシィ時代から大切にしているユーザー目線を忘れずにデザインをしています。
競争心も出世欲もない。ただ、いいプロダクトで社会課題を解決したい
ーー様々な会社で経験を積んできた佐久間さんから見て、エクサウィザーズのデザインチームにはどんな特徴がありますか?
大きく二つあって、一つは広義のデザイナーチームである点。チーム内にはUI/UXデザイナーだけでなく、エンジニアリングに強いデザイナーや、ビジネスサイドを考えられるデザイナー、元々プロダクトマネジャーだったメンバー、まで在籍しています。
やろうと思えばデザインチームだけでプロダクト開発ができるんじゃないか、と思うほど豊富なスキルを持ったメンバーが集まっています。
もう一つは、“大人”なデザインチームである点。皆さん、自分の専門領域には一定自負を持っている方ばかりだと思いますが、だからといっておごるような態度は全然ない。むしろ、専門外の弱さもさらけ出して、お互いに助け合う風土があります。
もちろん、良いものをつくるために意見は出し合いますが、関係はギクシャクしません。みなさん客観性があり、エゴを通すようなこともない。
消極的に聞こえるかもしれませんが、僕も含めて競争心や出世欲むき出しの人はいないので、変な足の引っ張り合いがないんですよ。あくまで「いいプロダクトをつくって、社会課題を解決したい」というモチベーションの人が多いんです。そういう点が大人だなと思いますね。
ーー佐久間さんはなぜ、エクサウィザーズのデザインチームには“大人”な人が集まっているのだと思いますか?
うーん、もうここしかないって思いで来ている人が多いからだと思います。僕自身、数多くのコンシューマー向けサービスに携わってきて、社会課題の解決というビジョンに向き合っている。他のメンバーも様々な経験をして、最後の到達地点としてエクサウィザーズに来ているような気がしています。
世界中で使われるプロダクトを生み出し、日本発で世界に貢献する
ーー今後エクサウィザーズではどんなことを成し遂げたいですか?
「エクサウィザーズらしいデザイン、ブランド」を確立したいです。
ーー佐久間さんの考える“エクサウィザーズらしさ”とはなんでしょうか。
バイアスに囚われず、ユーザーが本当に欲しいもの、AIを用いて社会に貢献できるものを生み出せること、ですね。
例えば、特に気をつけたいことは「医療だから」「介護だから」とこれまでのイメージに引っ張られてサービスをデザインしてしまうこと。いざユーザーインタビューをしてみると、色一つ取ってみても「介護や医療の現場では落ち着いた色やデザインが好まれる」とは言い切れず、ポジティブになれるような明るい色を好むという意見が聞けたりします。介護や医療の現場で毎日使うものだからこそ、現場の声をしっかりと聞き、ユーザーにレッテルを貼るような仕事は、プロとしてしたくないと思っています。
細部にまで根拠の上に成り立つUI/UXを実現し、今までになかったもの、AIを用いたプロダクトをしっかりとしたデザインで支えて「エクサウィザーズらしさ」として広めていけたらと思います。
ーーエクサウィザーズらしさを確立したあと、さらに取り組んでみたいことはありますか。
エクサウィザーズで日本発の、世界で使われるプロダクトを手がけたいです。労働人口の減少や少子高齢化の問題でGDPがシュリンクすることがほぼ確実な日本は、いわば「課題先進国」。解決すべき問題が多い国だからこそ、世界の人達にも共通で役立ち、標準となるイノベーティブなプロダクトを日本発で生み出すチャンスが大いにあるのではないかと思っています。
ーー世界的なブランドを作っていくために、どんな方と一緒に働きたいですか?
エクサウィザーズでは新しいプロダクトをゼロイチでつくる機会が多いので、プロダクトの企画段階からUXデザイナーやPdMとして深く関わりたい方には最適なフィールドと言えます。
一方、これは僕の切なる願いなでもあるのですが、事業を横断しながら、守備範囲を決めずに活躍してくれるデザイナーの方に是非とも来ていただきたいです。今は腕を四本にして働いているようなものなので(笑)
いずれにせよ、あらゆる方の好奇心を満たせる環境であることは間違いないので、少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお話しましょう。
(撮影の時だけマスクを外しています)
文:田尻 亨太 編集/写真:稲生 雅裕