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創造するAIとデザインする、新しい時代。「デザイナーのこれから」

エクサウィザーズの2022年アドベントカレンダーの17日目の記事です。

エクサウィザーズのAI Designグループでデザイナーをしている川上です。主にコミュニケーションデザインを担当しており、デザイン組織のPR活動としてDesign Team Noteも推進しています。

2022年もあと少し。ワールドカップでは新しい景色を見ることは叶いませんでしたが、新しい時代へのワクワクは止まりません。今日の記事は、創造するAIとデザインする、新しい時代。「デザイナーのこれから」を私見と妄想たっぷりで書いていこうと思います。

エクサウィザーズのデザイン組織

私の働くエクサウィザーズでは、AIを用いた社会課題解決を通じて、豊かな社会を実現するために400人近くの人が集まって、日々取り組んでいます。これだけの人数が集まれば当然様々な個性があって、私の属するデザイン組織にも様々な個性が集っています。

今年、デザイン組織は、その個性をなだらかに繋ぐためのOur BeliefとOur Wayをつくり、Webサイトに公開しました。さらにその個性を紹介しつつ、誰が何を知っているのかや、チームとしての取り組みを残していくために、Note記事を少しずつ公開しています。いわゆる組織ブランディングですね。この取り組みについても追々Noteにまとめたいなと思っています。

エクサウィザーズのMissionとデザイン組織のOur Belife
エクサウィザーズのValues, Credoとデザイン組織のOur Way


画像生成AIをはじめ、創造するAIが身近になった2022年

今年の大きなトピックとしてはStable Diffusionでしょうか。オープンソース化したことで一気に広まりましたよね。

特にコミュニケーション系のデザイナーは、AIの有無を問わずText to Imageを頻繁に使うのではないでしょうか。画像検索はもちろん、StockPhotoサービスからお目当てのイメージを探す時や、リファレンスを探す時、ビジュアルアイデアを飛躍させる時などにも活用する方は多いかもしれません。

Stable Diffusionも、いわゆるText to Imageの画像生成AIです。例えば、下のような画像をつくる時(どんな設定だ?)は、人物の権利を気にしたり、建物の権利を気にしたりと、とても大変ですが、画像生成AIだと数分でつくれますし、実在しない被写体なので安心です。

もちろんStockPhotoサービスも便利なのですが、うまく検索できなかったり、検索結果が想定と違っていたり。(時にはその揺らぎが大きな刺激になり、ちょうど良い距離感をつかんだりもします)

※Stable Diffusionは、拡散モデルを使っているようです。拡散モデルは、画像にノイズを乗せ劣化させ、ノイズを取り除くプロセスをモデル化してデータを生成します。そのプロセスは、抽象と具体を行き来するデザインのプロセスと似ていますよね。

画像だけでなく、アパレル業界ではトルソーなどに服を着させてスタイリングし、それをAIの頭部に置き換えるAI人物モデルが話題ですし、動画のBGMはAIがつくっても十分なクオリティに感じます。

このように、AIとの置き換えが難しいと思われてきたクリエイティブな作業でも、生成モデルの進化やインターフェースの整備によりどんどん浸透して、身近になってきています

マスクに笑顔の口元が透けていることが興味深いですね。※Stable Diffusion 2 | Basetenで生成


AIと共創するアートディレクション

例えば、車の広告ビジュアルをモデルさんを使用して、撮影・制作する場合。

今までは、世界観を決めて、フォトグラファーを決めて、レタッチャーを決めて、ロケ先を決めて、スタイリストを決めて、モデルさんをオーディションして決めて、ヘアメイクさんを決めて、全部揃えていざ本番!と、多くのスペシャリストの方々と長い時間をかけてひとつの世界観を作り上げます。

そこにAIという選択肢が加わると。

背景のベースをAIに生成させて、AI人物モデルさんを演出して、フォトグラファーがスタジオでパーツ撮影して、レタッチャーとトーンを仕上げる、というデジタル化プロセスは普通に想像ができます。
天候や季節・当日の光線状況で仕上がりのイメージが大きく左右されるロケ写真をAIが生成するので、スケジュールも精緻にコントロール可能に。搬送コストや情報規制で外に持ち出しにくい車などのメイン被写体をスタジオから出さないのでリスクヘッジもでき、さらに、モデルさんの印象がイメージと違う場合なども、後から変更が可能になり、認識合わせがとても容易になります。

ここまでは3DCGでも実現可能なことで、もっと可能性を感じること。

AIに世界観のアイデアをたくさん生成してもらい、たくさんやり直しをしてもらう。一昔前のアートディレクターとデザイナーの徒弟関係のようなものをつくり上げる。アートディレクターが自分の感性や作風をInputして、業務上のクローンとしてAIにOutputしてもらう。(イラストレーターはすでに始めてますよね?)良し悪しは別として、こういった新しいアートディレクションの形も生まれてきます。

さらには、複数パターンのビジュアルをクローンAIにつくらせて、Image to TextのAIにキーワード抽出させ、SNSで多く投稿されているキーワードと掛け合わせて、コピーライティングをする、合わせ技クリエイティブディレクションなども生まれてきます。

そうなるとディレクター(デザイナー)は、そのアウトプットを、いつ、どこで、どう届けるか、それによって最後の味付けをどう変化させるか、などのデザインに集中できます。(ああ素晴らしき時代。ワクワクしますよね)

※余談ですが、「AIにこんなImputをあげるとこんなOutputを出すよね」というのをコントロールするスキルはやはり必要で、若手のデザイナーさんにデザインディレクションをしていた時代とあまり変わらず、重要です。

Sequoia CapitalがまとめたGenerative AIのMAP

引用:Generative AI: A Creative New World | Sequoia Capital US/Europe


これまでも、これからも、結局これがデザイン(と考える)

シンギュラリティが近づく新しい時代では、論理的で静的なデザインはAIにやってもらって、デザイナーはもっと感情的で動的なデザインに時間を使い、存在価値を発揮するようになっていくのではないかと思います。

チームのコラボレーションや、タッチポイントの探索、移り変わる感情変化を捉えて、リアルタイムで判断して編集するDJのような、動的なアウトプット。変化を誘発するデザイン。

例えば料理なら、料理というコンテンツはAIとロボットに作ってもらう。シェフはその料理を食べる人やタイミング・環境を観察して、アウトプットの盛り付けや温度を調整し、食べる人を焦らしたり誘導し、料理が一番美味しく感じられるためのコーディネートに集中する。

例えばデバイスなら、使用中のインターフェースはM3やHIGなどのルールを学習させたAIに生成してもらい、使用前や使用後のUXをしつこく考える。デバイスが日常に溶け込む風景や存在感、デバイスが10年後にどう地球に戻っていくのか、などの、大切な価値なのにあまり時間をかけられなかった領域のデザインにも注力できる。(ああ素晴らしき時代。ワクワクします)

デザイナーのスキルセットが、哲学や心理学になっていき、先進的な企業ではすでに始まっていますがクラシカルなデザインの価値も高まり、普通の便利さは淘汰され、感情が揺さぶられる物事が増え、豊かな感性を持つ新しいヒトが現れ、ヒトだけが中心だった時代は終わり、すべての関わりに優しい、豊かな社会になっていく。

最後だけはとても飛躍しましたが、そのほかの話はもうすでに起きていること、できること。シンギュラリティは2025年(3年後!)に来るという説もあり、現職のデザイナーはプリミティブな感情や感性を錆びつかせず、変化を楽しむ準備をしておけばOK!という話でした。

最後に、冒頭に書いたOur Beriefを記載します

AIは、人々の幸せを実現しうる新しい社会への可能性を秘めている。人とAIのデザインされたつながりは、有機的に広がり、システムに作用し、新しい社会をかたちづくる。人が環境をつくり、環境が人をつくる。私たちは、多様な人々が生き生きと過ごす豊かな環境を、新しいつながりでつくり出す。

こちらのサイトからもご覧いただけます

幸せな社会をつくる仲間を探しています。

エクサウィザーズでは、最新の技術トレンドだけでなく、多様なメンバーの知見を共有する勉強会が行われており、さまざまな知識をimputすることができます。(直近では認知科学や人間工学の知見共有が実施されました)

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18日目は事業統括部の伊藤広宣さんです!

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