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グッドデザイン賞を同時受賞!そのプロセスをご紹介。 [エクサウィザーズ / デザイン]

2022年度グッドデザイン賞において、エクサウィザーズのデザイン組織が携わる、保育・介護分野の3つのサービスが、グッドデザイン賞を同時受賞しました!

このnoteでは、1次〜2次審査を中心にプロセスや工夫した点を紹介します。グッドデザイン賞を目指すデザイン組織やプロダクト組織の参考になれば嬉しい限りです。


エクサウィザーズのデザイン組織って?

エクサウィザーズのミッション:
AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する

デザイン組織のOur Belief:
私たちがデザインするのは、人とAIの新しいつながり。

本題に入る前に少し、組織の説明をします。エクサウィザーズはグループ会社を含めて400人弱のスタートアップで、社会課題を解決するサービスを提供することで幸せな社会を実現します。

エクサウィザーズのデザイン組織は、人とAIのつながりをデザインすることでそのミッションを実現します。デザイン組織は大きく、AI Designグループとデザインコンサルティンググループがあり、20名強の多様なデザイナーが所属しています。UXを考えUIを用いてプロダクトを継続した成長に導くデザイナーや、顧客の課題に対して、サービスをデザインすることで解決に導くデザイナーなど得意とする領域も様々です。

グッドデザイン賞には自社のサービスで応募したため、AI Designグループの各サービスを担当するデザイナーがこのプロジェクトを主導しました。


グッドデザイン賞を受賞したサービスと、目指す社会って?

受賞したサービス

ハナスト
介護記録、連絡、申し送りなど、介護スタッフの間接業務を AI × 音声入力でサポートする、現場の声から生まれた AI アプリです。
詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

トルト
5mの歩行動画をとることでAIが利用者の歩行状態を見える化・おすすめの運動提案をおこない、利用者様やご家族の満足度を向上。高齢者の自立支援する方々をAIでサポートするサービスです。

とりんく
保育園や幼稚園などの写真関連業務を自動化するサービス。撮影〜仕分け〜補正〜配信まで、複数のアプリとデバイスを活用して実現しています。



私たちはスタートアップのデザイン組織では珍しく、ミッションの実現に向けた多数のサービスを展開しており、それぞれのサービスに担当のデザイナーがついています。受賞した3つのサービスは、少子高齢社会の世界最先端をいく日本ならではの、保育と介護分野のサービスです。この領域では保育士や介護士の業務負荷が高まっています。日々の業務の中で、園児への保育・教育や高齢者へのケアという本質的な業務に使える時間を少しでも捻出できるように、AIなどのテクノロジーを用いて業務のサポートをするサービスをデザインしています。

グッドデザイン賞の目指す、”ひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会” は、エクサウィザーズのデザイン組織のOur Beliefと同じベクトルにあります。私たちのサービスもまた、ライフサイクルの中で取り残されやすい年代や状況の方々へ届けたい、多様な人々が生き生きと過ごす豊かな環境をつくりたいという思いを形にしていますので、グッドデザイン賞に応募するのは必然の流れでした。

グッドデザイン賞は、審査と多様なプロモーションを通じて、デザインに可能性を見出す人びとを支援し、デザインにできること・デザインが生かされる領域を広げ、私たちひとりひとりが豊かに、創造的に生きられる社会をめざしています。

引用:https://www.g-mark.org/about/

私たちがデザインするのは、人とAIの新しいつながり。
AIは、人々の幸せを実現しうる新しい社会への可能性を秘めている。
人とAIのデザインされたつながりは、有機的に広がり、システムに作用し、新しい社会をかたちづくる。
人が環境をつくり、環境が人をつくる。私たちは、多様な人々が生き生きと過ごす豊かな環境を、新しいつながりでつくり出す。

引用:https://design.exawizards.com/belief


審査に向けて行ったこと

長々と前提の話をしましたが、この部分が、1次審査のテキストに反映されていくことになります。ここからは審査のプロセスに沿って、検討したことや工夫などをお話しします。


一次審査

一次審査=申し込みは、グッドデザイン賞の事務局側が用意してくれているテンプレートに記入してエントリーサイトから申し込みをします。ここでは、サービスの基本情報にプラスして、サービスの意義やデザインのポイントなどを概要にまとめ、数枚の画像や動画で全体像を補完するイメージです。いわゆるポートフォリオ審査ですね。
この段階で気をつけた点として下記の3点を挙げます。

・目標に設定、プロジェクト化

まず、AI Designグループの目標に受賞することを設定しプロジェクト化しました。グッドデザイン賞に限らずですが、賞への応募はプロダクトチームの協力が必須です。特に一次審査では、テキストの入力が多くプロダクトマネージャー視点での記入・レビューやエンジニア視点でのポイントなど、確認依頼事項が多くあり、時間を割いてもらうことになります。組織の目標として設定することは、デザイナーのモチベーションとなるのと同時に、部門を超えた協力を仰ぎやすくなります。

・サービスの背景の言語化

ソフトウェアサービス開発ではよく作っていると思いますが、そのサービスの存在価値をわかりやすくまとめる必要があります。
例えば前述のとりんくの例でいうと、ソフトウェアやIoTのビジュアルやUI/UXだけでなく、そもそも社会や子育てをする 世帯にはこんな課題があって、それをとりんくではこういったアプローチで解消していきます!という背景を言語化しました。この辺りはサービスデザインやマーケティングのフレームワークが役立ちます。

・端的にまとめる

一次審査では実際のソフトウェアに触れる審査はありませんし、デモンストレーションもありません。ですので、テキストを含め、資料をわかりやすく整理することが大切です。審査員も多数の応募の中から選ぶので、なるべくストレスをかけないように、端的にまとめるように注意しました。
ここではコミュニケーションデザインのフレームワークが役立ちます。

<とりんくの例>
<とりんくの例>



二次審査

一次審査に通過すると、いよいよ展示台での実機デモがある二次審査に入ります。一次審査の結果通知から二次審査までは意外と時間がないので、デモ環境の準備などは早めに取り掛かる事をオススメします。
二次審査では下記の点に注意しました。

・実機展示の準備

パネルで説明する部分、デモ機を触ってもらう部分、イメージムービーなどで感じてもらう部分など大きく切り分けて考えるといいと思います。グッドデザイン賞が用意してくれているどの展示台を使用するのか、から始まり、どんなデモを体験してもらうか、どんなパネルが必要か、パネルをどこで制作するか、さらに細かく詰めていくと、パネルのファーストビューではサービスの背景を、展示台の実機周りではサービスの使い方や、UXを説明する、など展示審査時のUXも考えた展示台を検討することで、審査もスムーズになると思います。

・デモ機の用意とスケジュール設定

一次通った!という報告で、プロダクトチームも盛り上がっているタイミングだと思います。デモ環境の準備はここで依頼することをオススメします。エンジニアのリソースに余裕があることはほぼないと思いますので、余裕をもった期日を設定しましょう。

・インフラチームの協力

セキュリティやネット回線などのインフラ環境には注意が必要です。有線の方がいいのか無線ルータを用意するのか、デモ用のデバイスをキオスクモードにする、など見落としがちな部分の協力を仰げるメンバーを巻き込むことを強くオススメします。エクサウィザーズでもインフラチームの協力があってこの辺りがかなりスムーズに進められました。


このような展示になりました!<とりんくの例>


結果、グッドデザイン賞を3つ同時に獲得できました!


記事執筆時点では、まだ審査員コメントの確認ができておらず、どのポイントが受賞に値したのか推測になりますが、グッドデザイン賞とエクサウィザーズのデザイン組織が目指す社会のベクトルが揃っていたことが大きいと思います。
そしてサービスに関わるメンバーはもちろん、サービスをよりよくし続けるためにご意見を届けてくれるユーザーの皆さまと一緒に、利用者が生き生きと暮らせる豊かな環境をつくっていきます。

この記事が、豊かな社会にしたいと考えるデザイナーや、そんなサービスに携わる皆さまのお役に立てれば幸いです。そして、人々が生きていてよかったと思えるようなサービスがどんどん産まれ、育っていくことを願っています!

筆者:川上(デザイナー)


エクサウィザーズのデザイン組織も、そんなサービスをデザインし続けており、一緒にデザインする仲間を募集しています。ぜひ、カジュアルにお話しをしましょう。


エクサウィザーズでは一緒に社会課題解決をしてくれる仲間を募集しています。