人事目線で見た“IPO後”の採用の変化とこれからについて
こんにちは、株式会社エクサウィザーズの人事の半田です。2021年12月23日、株式会社エクサウィザーズが東京証券取引所マザーズ市場への新規上場してからおよそ1年。「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションの実現に向けて、全社員が一丸となって取り組んでいます。
アドベントカレンダー2日目は、採用チームから私が人事目線で、よく質問をいただく「IPO後の採用の変化」について書かせていただきます。端的にいうと、「ブランディング」と「コストコントロール」を意識しました
その1.採用ブランディング
よく聞かれるのは「上場したことによって応募数は増えましたか?応募してくる人の質に変化はありましたか?」ということ。
まず、応募の「数」についてですが、そもそも応募の数は採用活動の量や採用媒体のメディアの選び方のほうが変数として大きいので、IPOそのものによる影響を図りかねているのが正直なところです。というのも数という観点で思い出されるのは4年ほど前、人事体制が今ほど整っていない時に、ビズリーチに求人広告を出したらとんでもない量の応募をいただいたこと。対応しきれずに途方に暮れたのを思い出しました。
IPO前後ではその時ほどの爆発力はなかったものの増加した、という印象でした。とはいっても、今でもエクサウィザーズの名前を初めて聞いた、という方も多いので、認知を高める活動はこれからも続けていく必要があると感じています。
次に「質」について。結論から言うとここ1年で直接応募、採用ホームページ経由での入社の方が増えました。エクサウィザーズは、お客様がエンタープライズや介護施設中心で、日常的に潜在採用候補者がエクサウィザーズのサービスに触れる機会が多くないこともあり(言い訳かもしれないですが)、応募初期時点で志望度が高いいわゆる「あったまってる」候補者は少ない部類の会社だと思います。
それでも今年は「採用ホームページから応募、エクサウィザーズしか受けていない」という方もちらほらいて、採用ブランディングの高まりを感じました。(数年前、候補者の自宅の近くのカフェまで行き、ご家族の方に「決して怪しい会社ではございません」的な説明をしていた日々が懐かしい..)
採用ブランディングで気をつけていたこと
一方で、いろいろな文脈での発信が増えているので、意図を持った採用の情報発信をし続けないと、候補者ごとの「認知のばらつき」が高まるリスクを感じた一年でした。私は最終面接官を担当し、ほぼ全ての候補者に会っているのですが、会社としてアピールする点、押し出す点を間違えてはいけないと強く意識するようになりました。
例えば、エクサウィザーズは現時点ではリモートワーク中心で、定期的に行っているeNPS調査の項目としてポジティブ要因として「働き方の柔軟さ」は上位にくるのですが、これはあくまでも事業成長をするための手段としての人事方針です。候補者が求めているからといって「働き方に柔軟性があるよ!」「リモートワークあるよ!」という押し出し方を過度にすることはあえてしませんでした。
あくまで事業を目的とした採用ブランディングであるべきですし、そのためにまず"どんな人に仲間になってほしいのか"があります。その候補者は他にどんな働き方の選択肢があるのか、その上で会社のどの部分をアピールし、"どんな理由で入社を決めてほしいか"ということを採用ブランディングに携わる人間が自覚的になる必要があります。それが会社の文化や雰囲気を作っていくということを今年1年改めて実感しました。サービスのマーケティングの場合、相手の欲しているものをわかりやすく伝えるということは、基本になるのですが、採用ブランディングはこの点が違うと感じています。
採用ページをnotionにした
エクサウィザーズはかなり初期から「PaaS」、「SaaS」、「介護のオンライン研修」、「AIカメラ事業」など様々なビジネスモデルで、マルチモーダルにマルチセクターで複数事業を経営する手法を取っています。正直、複雑性が高いゆえにわかりやすく伝える難易度が高いです。事業の複雑さだけではなく、新卒・中途の区分、エンジニア・デザイン・ビジネス・コーポレートなどの複数職種、子会社などなど、成長につれて表現がどんどん難しくなっていきます。そんな中でも各々が発信の主導権を持ち、アジリティや頻度を高く保てることが重要だと考え、採用ページもあえてスタートアップシード期に採択される傾向が強いNotionに変更しました。
IRやPRとの連携がより重要に
最後にIPO後の変化につけ加えるとすると、会社が発信する情報としてIR観点が加わったことがあげられます。IPO後は会社からの発信が日々、投資家の方の目にふれることになります。IRチーム、広報チームとの連携の重要性が一層増しました。スタートアップはステージやプロダクトの特性によって、PR・IR・採用広報の棲み分けは変わると思いますし、コンテンツをうまく再利用することも非常に重要です。11月にリリースした統合報告書は採用の場面でも使えるものになっています
その2.採用コストコントロール
これはIPOそのものというよりも、年明けからのアメリカの金利引き上げに呼応した市況の変化に対応したというほうが大きいかと思いますが、採用コストのコントロールによりシビアになりました。全世界的にSaaS銘柄やテクノロジー銘柄が売上高成長率だけではなく利益を重要視する傾向が強まっていることに合わせて、人件費・採用費をもう一段引き締めました。
エクサウィザーズは業務委託費を含めた人件費や採用費がコストの大部分を占めます。全社の利益率に大きく影響し、結果として株価に影響するファクターになるので、雇用形態や人件費、採用費を意識して採用活動を行ってきました。
重要になる"センスメイキング"
状況がめまぐるしく変わる現代においては、戦略の正しさよりも「腹落ち」感が重要という早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授の”センスメイキング理論”を意識しながら、経営陣を巻き込み、全社会などで全社に繰り返しメッセージングしつつ、活動に取り組みました。
採用コストコントロールを具体的にいうと、全社のリファラル採用の促進や、オンラインでの採用イベント、自社からの情報発信をより積極的に行うことなどがあげられます。Qごとに採用チャネルの決定目標、行動指標を設定をし、全社的に週次でモニタリングし、追いかける活動をやってきたことにより、(数字までは公開できませんが)コスト構造の変化という意味では一定狙い通りの成果が出ています。
もちろん採用活動において、コストはファクターの一つでしかないですし、個人としては一概に低ければ低いほど良いというわけではないという考えですが、事業や市況のタイミングによって意図的にアクセス・ブレーキを引ける“レバー”を持っておくことが重要だと思います。
これからのエクサウィザーズの採用
改めて振り返ると、自分の役割の変化も含めて、一年でやることは目まぐるしく変わりました。先述の入山先生がエクサアカデミアの中で語られていた「30代はどこの場所に所属してるかでどんどん実力に差がつく。意思決定の数が重要」という言葉は、本当にその通りだなと思います。日々日々未熟さに向き合い、成長しての繰り返しです。それがスタートアップの醍醐味ですよね!急成長かつ、複数事業ということで人事としての面白さは尽きることがないチームですので、ご興味のある方は是非ご一報ください!
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明日以降も、#社会課題解決に向けた現在地点についてメンバーが紹介していきますのでご期待ください!