個性が尊重される環境で、数字の外からもユーザーに寄り添う デザインコンサルタント 山崎三千
「デザイナーはお客様である企業の課題、そしてその企業のユーザーに寄り添う仕事です。ユーザーの視点になって、どこで、どんな人が、なんのために使うのか。この視点を大切にできる人がデザインの可能性を拡張できると信じています」
「エクサウィザーズ」で活躍する”ウィザーズたち”を紹介するストーリー。
今回は、デザインコンサルティンググループに所属する山崎さんです。UXやUIの改善はもちろん、サービスデザイン、実際に利用するアプリケーションのデザインなどあらゆるフェーズの課題をデザインで解決しています。大学で建築を学び、未経験でWebメディアのデザイナーとなった後、ローソンではイベント会場からアプリのデザインまで包括的に担当。半年前にデザインコンサルタントグループへジョインしました。彼女が大切にしているのは、どんな時も「ユーザーに寄り添うこと」。
その原点と、彼女の目指すこれからの姿を教えてもらいました。
ユーザーを多角的に捉えるため、コミュニケーションを通じてデザインする
大学では建築や都市開発を専門に学んでいた山崎さんは、大学卒業後にWEBデザイナーとしてWEBサービスを運営している株式会社じげん(以下:じげん)に就職。じげんでは、フロントエンドのコーディングもデザイナーが行っていたため、HTMLやCSS、構築に必要なRailsやGit、マーケティングに必要なSEOの仕組みなどを学びながら業務を行った。
「今振り返ると、私が学んだ都市開発とWEBメディアには多くの共通点があったと思います。都市開発もメディアも規模は違っても『場所』を作る仕事。どんな人が来訪して、どんな風になんのために利用するのか。どのように作ればよりユーザーの体験を高められるのか。今にも通ずる思考の原点になりました」
スキルが身に付くのと並行して、挑戦したいことも増えていった。
「じげんではWebサービスのデザインを基礎から学ばせてもらいました。CVRを改善するため、マーケティングの視点からデザインを検討したり、開発ディレクションも経験させてもらいました。」
その後、一社を挟み大手コンビニエンスストアのローソンの子会社・株式会社ローソンデジタルイノベーションへ転職。
ローソンでは、社内システムや公式アプリなどIT領域のデザインを担当。特に印象に残っている仕事として山崎さんが挙げたのが、毎年、秋に幕張メッセを使って開催されるアジア最大級規模の国際展示会・CEATEC JAPAN。ローソンは、小売業界として初の出展だった。
「ローソンが目指す2025年の未来型コンビニとは?」をテーマに「未来」、「地球」、「集い」、「おいしい」、「技術」、「決済」、6つのブースを出展。ブースのディレクションから、このイベント限定のウォークスルー決済アプリのリリースまで行った一大プロジェクトだった。
「何度も社内外の人とコミュニケーションを重ね、『今までのローソンが目指してきた顧客体験』と『新しく感じてほしい、ローソンの魅力』の展示方法を検討しました。良いデザイン生み出すには、自分のデザインスキルだけではなく、たくさんのコミュニケーションをとり、多様な視点からアウトプットに磨きをかけることも同じくらい大切だと学びました」
CEATEC初出展、大人気となったローソンのブースはネットニュースはもちろん、朝の報道番組でも取り上げられた。
「開催までは緊張でいっぱいでしたが、ウォークスルー決済を体験するコーナーは40分待ちの行列ができたんです。お客様がリアルに目の前にいる感動は今も忘れられないですね」
個性を尊重されながら、ユーザーに寄り添う
ローソンでの経験をより多くの企業の課題解決に活かしたい。そう考えた山崎さんは、「切磋琢磨しあえるデザイナーがいること」、「 これから社会に求められる技術の可能性を、デザインで拡張できること」の二つを満たす企業を探し始める。
その過程で出会ったのがエクサウィザーズだった。
他にも大手企業から内定をもらっていたが、エクサウィザーズへの決め手は自分がデザイングループで働く姿を明瞭に描くことができたからだという。
「デザイナーがどんな風に仕事をしているのか、メンバー間でどんなコミュニケーションがあるのか、面談や面接で教えてもらえました」
とはいえ働き始めた当初は、多様かつデザイナーとしてレベルの高いバックグラウンドを持つメンバーに馴染めるか不安もあった。しかし、その懸念はすぐに払拭された。
「働いてみたら、実力、感度が高い人達に囲まれ、『いつでも相談できる環境』に安心しました。クライアントに面しているBizDevのメンバーとも密なコミュニケーションを取れるので、意見を出し合って一緒にプロジェクトを進めています」
エクサウィザーズのデザインコンサルタントが手がけるプロジェクトは幅広い。また、「構想して終わり」ではなく、実際に使われるところまで携わることができる。コンセプト段階のユーザーリサーチや、SaaSやモバイルアプリのUI/UXデザインなど、案件ごとにさまざまな知識が必要とされるが、プロジェクトごとにあらゆるフェーズでデザイナーが入る余白があるとも言える。
そうした環境に加え、山崎さんは個人の「やりたい」を大事にしてもらいながら仕事ができていると話す。
「私みたいに、様々なフェーズの案件を手掛けたい人もいれば、一つのプロダクトに集中したい人もいて、『性格や個性』を尊重してもらえる環境だと感じてます。
デザイナーとして様々な業界・業種のデザインに携わりたい人、自分の専門性をさらに高めたい人、専門性を広げたい人、それぞれが自分の伸ばしたい領域を自然と伸ばすことができると思います」
企業とユーザーに歩み寄るデザインで数字では表せない価値を生む
WebサービスのデザインからAIを用いた社会課題の解決へと、やることは移り変わってきたが、「ユーザーに寄り添う」姿勢は一貫して変わらない。たとえ、自分とは真逆の人がユーザーだっとしても、常に使い手になりきってデザインを考えたいと彼女はいう。
「よく自分で完成した画面を見て『わかりにくい、ボツ!』とかブツブツと独り言を言うんです。使う人になりきって考えないと、いいデザインが生まれない。AI技術やDXの最適化も、どこで、誰が、どんな風に使うのか。『使う人の体験を追求するデザイン』はWebを制作していた頃から一貫して変わっていません。ユーザーのことをもっと深く理解することで、ユーザー体験の価値は高められる。
企業の課題、その企業のユーザーの課題、それぞれが歩み寄り、双方の課題を解決するデザインをこれからも探求していきたいと思います」
(撮影の時のみマスクを外しています)
文:南條杏奈 編集 / 写真:稲生雅裕