次世代に良い社会を残すために。企業のDX推進サービス「DIA」で三児の父が、目指す未来
HR領域で展開するプロダクト、「HR君 デジタルイノベーター アセスメント」(以下、DIA)は、大企業のDXを人材領域から支援するサービスです。アセスメントによるDX推進スキルやポテンシャルの可視化、パーソナライズされた教材を提案する仕組みが評価され、従業員数万名規模の企業150社に導入されています。(2020年9月現在)
このプロダクトの開発をリードするのが、ビズリーチやDeNAで新規事業開発を手がけてきた事業部長の北林さん。
「エクサウィザーズ」で活躍する“ウィザーズ”たちを紹介するストーリー
今回は、「次世代に今より良い社会を残したい」という熱い思いを抱える北林さんに、DIAの事業戦略やDIAを通じて成し遂げたい未来を聞きました。
次世代が幸せになれる社会を築くために
ーー北林さんはこれまで、DeNAでモビリティサービスやビスリーチで転職サービスを立ち上げて来られました。どんな理由からDIAに関わろうと思ったのでしょうか。
「子どもが成人するまでに、自分が生まれたときより幸せに暮らせる社会を作って、次の世代にバトンタッチしたい」という思いからです。
今の日本は少子高齢化が進み、働ける世代が減少しつつあります。もし、このまま何もしなければ、働き手の負担は増える一方です。経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」によれば、企業のDXの遅れは、年間最大12兆円の経済損失を生じさせると言われています。
この状況を改善する施策の一つが、企業のDX。デジタル化やデータ共有が適切に行われることによるコストの最適化や、正しいデータの利活用などができれば、デジタルネイティブ世代である子供たちが活躍できるはずだと考えています。だからこそ、企業DXを支援するDIAに関わろうと思ったんです。
ーーそもそも、北林さんはどういった経緯でエクサウィザーズに入社を決めたのでしょうか。
自分はこれまでも「どうしたら良い社会にできるか」を軸に仕事に取り組んできました。
DeNAで自動運転による物流支援サービス「ロボネコヤマト」を手掛けたのは、自分が秋田の田舎出身で、移動が困難な人たちのために何かしたいと思ったから。
ビズリーチでエンジニア向け転職サービス「BINAR」を立ち上げたのも、自分自身がエンジニアだった背景があります。
この先、日本企業が生き残っていくためにはITの力で既存事業にイノベーションを起こしていく必要があります。そのためにはITエンジニアの力が不可欠です。エンジニアと彼らが幸せに働ける環境をマッチングさせることで、エンジニアたちがモチベーション高く働き、その結果、企業の変革を後押しをしたいと思っていました。
そして、より抜本的に企業の変革を通じた社会課題の解決につながる取り組みがしたいと思ったときに、エクサウィザーズが企業のDX推進にピンポイントで切り込むサービスを開発していると知りました。
DXを実現するためには、エンジニアが事業に入り込むだけでなく、エンジニア以外の人も当たり前のようにデジタル技術を使える必要があると考えていました。DIAの取り組みは、そうした自分の課題感にもフィットするものだったんです。
また、最終面接で社長の石山さんと話していて、本気で社会課題を解決しようとしている熱意が伝わってきたのも、自分の志と合致し、入社の決め手になりました。
デジタル人材不足とミスマッチをなくし、DX推進の壁を乗り越える
ーー改めてDIAとはどんなサービスなのか教えてください。
DIAは、企業のDXを加速させ、新しい価値を創造し続けられる企業を増やすために、DXを推進する人材を発掘・育成支援するサービスです。
DXが上手く行かない最大の理由は「人材のミスマッチ」だと考えています。多くの企業は、DX推進人材に求められるスキルの定義が曖昧なことが原因で、適切な育成方法や採用基準を設けるのに苦戦しています。
そこで、DIAは社内にどれくらいDX推進に適した人材がいるのか、そのスキルとポテンシャルを「デジタル」と「イノベーティブ」の2軸で判断。「すぐにDXに携われる人材」なのか、「育成によって伸びる人材」なのかを可視化します。診断結果から、育成対象となった方には、パーソナライズされたeラーニングのコンテンツを提供しています。
ーー具体的にはどのようなコンテンツを提供しているのでしょうか。
パーソナライズされたeラーニングのコンテンツを提供しています。これまで大企業と数々のオープンイノベションを手がけてきたエクサウィザーズの社員が講師を務めており、実践的な内容が特徴です。
コンテンツはDX人材になる上で必要な基礎知識を提供する「DXリテラシーコース」と、専門職としての活躍を目指す「スペシャリストコース」の二つがあります。
スペシャリストコースには、「ビジネス企画」、「データサイエンティスト」、「機械学習エンジニア」、「プロダクトマネージャー」などの専門性を磨き、次のキャリアを開拓するサポートとなるコンテンツがあり、企業全体のDXを底上げできるような仕組みになっています。
ユーザーの肌感を得られるまで徹底的にヒアリング
ーーDIAは大企業を中心に現在約150社に導入されています。これまで何を意識して導入を進めてきましたか?
私が入社した2020年1月から、さらに導入先を広げる段階で意識していたのは、ターゲットのお客様のところに行き、ニーズを捉えることです。入社直後は営業経由ではなく、お客様から直接話を聞くべきだと思い、ひんぱんに足を運んでいました。
ーーDeNAやビズリーチでも新規事業の立ち上げ・グロースを経験されています。それらと比べて何が難しかったですか?
ユーザー理解には時間がかかりました。ロボネコヤマトもBINARも自分が当事者だったので、ある程度顧客のインサイトは把握していました。
しかし、今回は「歴史ある大企業のDX推進リーダー」という、これまで自分自身が経験したことがない立場の方がターゲット。ユーザーとしての肌感は持てない状況でのスタートでした。
受講対象者となる方や企業担当者にインタビューをしたり、知人にアセスメントを受けた感想を聞いたり。様々な手段を使ってターゲットの解像度を上げる努力をしました。それと同時に、DIAが提供しているコアバリューとは何かを磨き込んでいきました。
ーー新規事業の経験が豊富でありながら、ターゲットを理解するステップを怠らなかったのですね。
そうですね。プロダクトを作る時、特に0→1フェーズにおいて大事なことは、起業家のエリック・リースの著書「リーンスタートアップ」で紹介されている「リーンキャンバス」を愚直に作り込むこと。
特に、顧客の課題やペインを十分に理解する視点は欠かせません。ここを間違えてしまうと、全ての方向性がずれてしまう。どんなに新規事業の経験があったとしても、ターゲットと向き合い、ユーザーの肌感を得るステップを省いてはならないと思っています。
大企業への導入が続くDIA。事業が加速度的に成長するフェーズに携われる醍醐味
ーーDIAの今後の事業戦略を教えてください。
まずは、今DIAで提供しているアセスメントと育成コンテンツを活用し、日本にDX推進できる人材を増やすこと。そして企業のDX推進レベルが向上した際に、そのフェーズで求められる育成サービスを提供したいです。また、DXを推進するためのプロフェッショナルが伴走するサービスも考案しています。
ーーそうした目標を達成するため、DIAチームはどのような人を求めていますか?
チーム自体がまだ少人数のため、自分の役割の範囲を規定せずになんでも取り組む人がいいですね。企業の課題を理解した上で、本質的なソリューションを考えられる人を求めています。
現在募集中のカスタマーサクセスについては、単にアップセルに成功するだけでなく、お客様からのフィードバックをプロダクト改善につなげる姿勢のある方が向いていると思います。
ーー北林さんから見て、エクサウィザーズの魅力を候補者の方に伝えるとしたら、どんなことを伝えますか?
二つあると思っていて、一つ目は個人の情熱を尊重してくれること。
事業作りに当たって、事業計画やそれに紐づく細かい戦略や戦術をロジカルに検討できているかはもちろん重視されますが、それと同じくらい、自分の気持ちを大事にしてくれていると思います。石山さんも「北林さんが本当にやりたいと思っているのなら、やってみよう」と背中を押してくれます。
もう一つは、自由度の高さ。
プロダクトを成長させる目的であれば、自分の役割を規定せずに働くことができます。これからプロダクトを伸ばしていこう、というフェーズなので挑戦したいことはどんどんできます。かといって、孤軍奮闘なのかというとそうではなく、協力的で、優秀なメンバーが社内外にいます。
例えば、プロダクトマネージャーとして第一線で活躍されているTablyの及川卓也さんにも協力いただいています。
ーー最後に、今エクサウィザーズのDIAチームに入る面白さについて教えてください。
日本で最も大きな課題の1つである低生産性、それを改善するために必須となる企業のDX推進に真正面から取り組めるやりがいと、それに人材面から携われるポジションが何よりの魅力です。
事業が加速度的に成長していくフェーズに携わる面白さを味わってもらえると思います。
文:一本麻衣 編集/写真:稲生雅裕