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数字を管理するだけじゃない。事業開発にも携わる経理として、スタートアップの成長をバックアップする

経理というと裏方のイメージを持っている人もいるかもしれません。でもじつは、専門知識を武器に企業の経営を強力に推進する、「攻め」の一面を持っているのです。

「エクサウィザーズ」で活躍する”ウィザーズたち”を紹介するストーリー。

今回は、エクサウィザーズを経理面から支える藤原さんを紹介します。3大国家試験と呼ばれる公認会計士の資格を取り、監査法人で働いた後、銀行に転職。そこから新たなチャレンジを求めてエクサウィザーズに入った藤原さんに、入社までの経緯やエクサウィザーズで成し遂げたいことなどについてうかがいました。

プロフィール

藤原弘卓(ふじわら・ひろつな)

大阪大学経済学部経済経営学科卒業後、公認会計士の資格を取得。有限責任監査法人トーマツでIPO準備を含む一般事業会社の会計監査業務に従事。2014年、株式会社新生銀行に転職し、銀行経理を担当。2019年6月、エクサウィザーズに入社。現在は経理部長を務める。

数字から会社の姿が見えてくる。意外と知らない会計監査の仕事

——公認会計士の資格をお持ちなんですね。大学は経済学部だったのでしょうか。

はい。高校までは理系クラスにいたんです。数学は好きだったのですが、物理の授業で振り子の実験をやっているときに、ずっとこうした実験を繰り返すのはピンとこないな、と感じまして。大学ではもっと実社会に関わることを学びたいと思い、文転しました。文系学部だけど、これまで勉強してきたことと親和性がありそうだと思い、経済学部に進学しました。

——そこから、会計士の資格を取ろうと思われたのは?

社会が変化しても働き続けられるよう、手に職をつけたかったんですよね。資格に基づく仕事をしたいと考えていて、経済学部だったので公認会計士に目が向きました。

——公認会計士の資格試験は、合格率5%〜10%といわれる難関です。どのようにして勉強されたのでしょうか。

まずは簿記の勉強から始めたんです。学んでいくうちに、帳簿や財務諸表の数字がどうしてこの値なのか、ということをすべて論理的に説明できる設計になっているとわかって。一つひとつが腹落ちして、とてもおもしろかったですね。その延長線上に、会計士の資格がありました。

——それから4大監査法人の一つ、有限責任監査法人トーマツに入られました。そもそも、公認会計士は監査法人でどういった業務をするのでしょうか。

どんな会社も決算をしますよね。決算とは、決算期ごとの会社の経営成績と財政状態を数字で明らかにすることです。売上高や利益、資産、負債などが載っている決算書は、いわば会社の成績表。この決算書が会計基準に基づいて適正に作成されているか、チェックして監査意見を表明するのが監査法人に所属する公認会計士の業務です。

監査業務のためには、クライアントのビジネスや組織の成り立ち、業務フローなどを理解しなければいけません。期中はよくお客さんとディスカッションをします。相談を受けながら、お客さんと一緒に数字をどう作るか考えていく仕事なんです。

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——「数字を作る」というのは、どういうことなのでしょう。

ちょっと独特な言い回しかもしれませんが、財務諸表や決算書を作成する、そこに書き込む数値を作成する、といった意味で使っています。売上高や利益などの数字って、ただ集計すれば出るというものではないんです。何を売上とするのか、といったことも会社ごとに解釈が違っていたりする

事業が一つだけの小規模な会社ならまだわかりやすいのですが、さまざまな事業を展開する大企業の決算書だと、取引量や種類が膨大で、それ毎に会計基準や税法の規定などを当てはめていかなければなりません。さまざまな数値を集計、分析して、数字を「作る」という作業になってくるんですよね。

——それは大変そうですね……。

大変ですが、おもしろさもあります。機械的に集計して出た数字ではないからこそ、会社がやろうとしていることや、社会に対して会社をどう見せたいのかが透けて見えてきたりするんです。そうした会社の意図を汲みつつ、会計基準という枠組みのなかで整理できるかどうかを判断するのも会計士の役目です。

——会計基準に当てはまらないことがわかったら、注意する。

そうですね、指導という名のダメ出しをすることもあります。例えば、売上を先取りしたり、水増ししたり、費用を隠して利益をよく見せようする、といったことは早めに見つけて指摘します。意図的ではなく単純に数字を間違えている場合もあるんですけど、そのまま決算までいってしまうと粉飾決算になる可能性がありますからね。

——トーマツで10年働いて、学んだことは何ですか?

クライアントの話をよく聞くことです。よく聞いた上で、一緒に考え、より良い解決策を探る。会計監査の仕事は、それの繰り返しでした。事業会社に移ってからも、やっていることは同じなんですよね。クライアントが、社内の他の事業部のメンバーになっただけ。メンバーから相談を受けて、どう対応していけばいいか一緒に考えるというスタンスは変わりません

もう一つは、会計基準のビジネスへの当てはめ方ですね。事業内容やビジネスモデルが変わると、会計基準をどう当てはめるかも変わります。さまざまなクライアントを担当し、その都度当てはめ方をブラッシュアップしてきました。繰り返していると、会計のセンスみたいなものが磨かれるんです。それを今は事業会社で、自分で数字を作るときに活かしています。

——トーマツで約10年働かれた後、新生銀行に転職されました。実際入ってみて、いかがでしたか?

銀行の会計って、小売やサービス業など普通の事業会社と毛色が違うんですよね。なので、まずは銀行業の仕組みを一から学びました。

新生銀行はもともと長期信用銀行といって、設備資金や長期運転資金の融資を主に行う銀行だったんです。だから、個人向けのサービスだけでなく法人向けの資金調達関連のサービスも豊富でした。

例えば、プロジェクトファイナンスといって、プロジェクトを遂行するためのSPCと呼ばれる会社を設立し、その会社を事業者として独立して借り入れをするファイナンス手法を提供していたり。

そうしたファイナンスのスキームをいろいろ学べたのが有意義でした。

急激に成長する会社は、数字を見ているだけでおもしろい

——新生銀行で5年弱働いて、2019年にエクサウィザーズに転職されました。銀行勤務は安定しているイメージがありますが、そこから転職しようと思われた理由は?

たしかに銀行は安定しているんですけど、まだ年功序列的な制度が残っていて、やってみたいことと、会社でできることが噛み合わなくなってきた。このまま銀行にいたら、役職が上がってチャレンジできる機会が来るまでに数年かかってしまう。でも、体力もあってバリバリ働ける今のうちに、もっといろいろな業務を経験してみたかったんです。

そこで、スタートアップへの転職を考えました。スタートアップは、経理チームの人数もそんなに多くないため、一人が担当する業務の幅が広いだろうと思ったんです。何でも自分でやる、という環境に身を置きたかった。

——スタートアップといっても千差万別ですが、エクサウィザーズに決めたのはなぜですか?

転職活動していくなかで、「成長の蓋然性」を選ぶポイントにしていたんです。その会社が、今後どれだけ確実に成長しそうか。それが、エクサウィザーズは高いと考えました。エクサウィザーズという会社自体も成長しそうだし、AI産業は今後必ず拡大すると思ったからです。

また、社会課題の解決をビジョンとして掲げているところもよかった。子どもが生まれてから、これから子どもが暮らしていく社会をより良いものにしたい、と考えるようになりました。だから、自分のキャリア形成もしつつ、その仕事が社会貢献につながっているならば、よりやりがいがあると思ったんです。

会長が春田さんだということも、ここで働いてみたいと思った理由の一つです。銀行出身で、DeNAの上場を主導したり、球団のオーナーになったりと、さまざまな経験をしている人の下で働くのはおもしろいだろうなと。

——将来性、ビジョン、一緒に働くメンバーに惹かれたんですね。今はどんなお仕事を担当されていますか?

経理と税務と財務、大きく分けて三つですね。経理は、監査法人や銀行でやっていた仕事の延長線上にあって、月次決算、四半期決算、年度決算などをやっています。

税務に関しては、各決算における税金計算、税務申告や税務調査への対応を行っています。財務に関しては、事業を円滑に推進するために資金繰りの管理や必要な資金調達などを行っています。

——業務の幅が広いですね。お金まわり全体というか。

こういう仕事がしたくてスタートアップに来たので、願ったり叶ったりという感じです。新生銀行のときは、経理のなかでもチームが分かれていて、さらに税務と財務は別のチームの担当でした。1チームに何十人もメンバーがいて、当然、別のチームの仕事にはほとんど関われません。

今は、三つの分野にまたがって、ハンズオンで全体を見ながら仕事をしています。一気通貫でやるからこそ、見えてくるものがあるんですよ。何か新しいプロダクトをリリースしたら、それが経理上どういう数字に影響があるか、税理申告上はどう変わってくるか、融資の審査にどんなインパクトがあるか、といったことが同時に頭に浮かんでくるんです。

——それはまだ規模の小さいスタートアップならではの醍醐味ですね。数字の面から見たエクサウィザーズのおもしろさはどこにありますか?

売上の成長が激しいところですね。数字を見ているだけでおもしろいです。メンバーが予算を達成してくる勢いがすごい。あとは、しっかり資金のあるうちから、環境変化に備えた手立てを早期に打っていくところなど、春田さんの経験に基づく考え方や感度などを身を持って知ることができ、すごく勉強になっています。

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——過去二回の職場と比べて、エクサウィザーズのメンバーはどういう傾向があると感じますか?

国籍がさまざまだったり、バックグラウンドに多様性があると感じますね。働き方としては、部署の垣根を超えて相談してくれるところが助かります。「これは私の仕事じゃないので」と見ないふりをせず、「あそこで今こんなことが起こってるんですけど」と相談してくれるのはありがたいです

——仕事のしやすさはどうでしょうか。

こちらの意見をよく聞いてくれて、リスペクトを感じるので、仕事はすごくしやすいです。あとは、みんな頭の回転が速くて、理解力が高い。売上の計上基準などを伝えると、すぐに「じゃあこういうときはこうなるんですね」と返ってくる。自分の仕事に当てはめてちゃんと理解してくれるんです。

だからこそ、自分としてはそれに甘えず、こちらからも歩み寄って、ニーズになるべく応えられるよう力を尽くしたいと思います。

経理だって、プロダクトの改善を提案できる


——今後はエクサウィザーズでどういったことを成し遂げていきたいですか。

上場前から入って、上場してからもスムーズに成長できるよう、会計・経理の面からサポートしていきたいですね。

——サポートというのは、どんなことが考えられるのでしょうか。

新しい事業を始めるにあたっては、その取引がどのように経理上処理されるかで、その事業の収益性や事業計画への影響が変わってきます。それらの影響やリスク等を事業部のメンバーに正しく理解してもらうことで、事業推進における適切な意思決定を支援することです。

また、事業の成長に応じて、オペレーションを仕組み化して、メンバーの負担を減らすことですね。例えば、請求書を自動で送れるようにする、とか。今は月あたりの請求書の発行数がそこまで多くありませんが、プロダクトが増えたら膨大な数になる可能性がある。その請求フローを自動化しようと考えています。

また、to C向けのプロダクトは、それぞれに決済機能が必要になる。プロダクトごとに別の決済サービスを使っていると、取りまとめが大変になります。これは今ちょうど進行していることなので、効率化のために決済代行会社を一社に統一するよう経理チームとして提案しました。このように必要とあらば、プロダクト開発に関わる部分もサポートしていきます。

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——エクサウィザーズのミッションは、AIを用いた社会課題を通じて、幸せな社会を実現することですが、藤原さんが個人的に解決したいと思う社会課題は何ですか?

介護問題は、当事者でもあるので気になっています。うちの祖父も最近認知症になったんです。なので、家族にエクサウィザーズの開発した認知症ケアについて学べるアプリ「CareWiz」のリンクを送ったんですよ。自分の働く会社が、家族に紹介したいと思えるプロダクトを開発しているのは、改めていいことだと思いました。

——そうした社会課題を解決していくために、エクサウィザーズにどんな人が入ってきてほしいですか?

まずは課題解決型の人。課題に気づけて、それを解決するためにどうすればいいか試行錯誤できる人は強いですよね。与えられた業務をこなすだけでなく、より良くしていくために何をするべきか考えられる人と一緒に働きたいです。

あとは、ちょっと個性的で主張が強めの人もいいかもしれません。

エクサウィザーズは素直で優秀な人が多いんですよ。なにか依頼すると、すぐに理解して受け入れてくれるんです。それはそれですごくいいことなので、その上で、自分の意見をゴリゴリ主張する人がいたらおもしろいだろうなと。

——藤原さんはこの先、CFOなど経営幹部になっていきたいという希望はあるんですか?

そこまでイメージしているわけではありませんが、自分がもう少し年上になったときに、スタートアップで頑張っている人たちにアドバイスができるくらいの知識や経験を積みたいという気持ちはあります。

今は目の前にある仕事がすごくおもしろいから、あまり先のことが気にならないのかもしれません。エクサウィザーズの経理として会社を成長させることに夢中なんです。人々の生活にエクサのサービスが浸透して社会がもっと良くなるよう、経理という立場から貢献していきたいです

文 / 崎谷 実穂 編集・写真 / 稲生雅裕 

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