LinkedInレポートから紐解く"DX時代に採用人事に求められる力"10選 #採用帰れま10 vol.09イベントレポート
エンジニアなどのDX人材の採用競争の激化、増加し続けるスタートアップへの資金調達額、リモートワークをはじめとした働き方の柔軟性が増している状況下で、現場を巻き込みながら組織をリードする人事の重要性は高まっています。
そんな中「DX時代に採用人事に求められる力」とは何でしょうか。
今回は、JACリクルートメント海外法人の代表取締役、LinkedIn Japan Senior Managerを歴任し、現在は採用と組織の領域で社会貢献を目指す株式会社WHOM 代表取締役社長・早瀬さんとLinkedIn の"採用担当者の未来レポート"を紐解きながらお話します。本記事では、そのイベントレポートをお届けします。
DX時代に採用人事に必要なスキルとは?
半田:今回お話しするそれぞれの観点として、私は大手企業を経てスタートアップの一人目専任人事からIPOくらいまでの時期を経験したインハウス人事としての視点、エンジニアなど幅広い採用の実体験を踏まえて。早瀬さんは日系企業の海外立ち上げや外資系企業を通じたグローバルでの視点、LinkedInやエージェントなどサービスを通じて外部から採用を支援する立場としての経験を踏まえてお話します。
まず、今回のLinkedIn の"採用担当者の未来レポート"は、コロナ後の求人倍率増加に伴いリクルーターに求められるスキル変化が生じることを背景にまとめられたものです。ここで記された内容が極めて現場の実態に近いと感じたため、今回はこのレポートを題材に深掘りしたいと思います。
では、さっそく「DX時代に採用人事に求められるスキル」について議論していきましょう。
採用に経営マインドを持ち、数値分析と成果指標を設定する力
半田:レポートでは、以下のように書かれています。
これはまさにその通りで、これまでは採用経験値の高い人が採用責任者を担っていましたが、これからは経営との対話力が必要だと感じています。どの時間軸でどのような世界を目指すのか、採用活動を組織戦略に紐づける力が求められているのではないでしょうか。
早瀬さん:そうですね。事業課題のギャップを埋めるために人員計画があり、そこで採用を行うために採用責任者が事業や経営を見るべきなのは当然の流れですね。また、採用条件が難しいほど採用は長期化しますが、それで事業の目標を達成できるか、経営者と同じ目線で対話できるスキルが必要です。
またレポートでは、採用について以下のようにも書かれています。
ご存知の通り、これまでの採用担当者が見るべきファネルは応募から採用まででしたが、今ではファネルも長くなりステップも多くなっています。そのため、採用計画を出し、遷移率や調達に有効なチャネル、マーケット規模を数字に落として分析し、PDCAを回す力が必要不可欠な時代と言えます。
半田:そうですね。採用の経験が少ない人にも理解してもらえるよう、採用のリードタイム、マーケット感、自社を分析し、ファクトに基づいた傾向を数字とセットで提出することで、現場の納得感を得られます。
さらに数字で言うと、採用の質をはかるために、成果指標(KPI)を設定する力も欠かせません。レポートでは「戦略的指標を設定する」「最も効果的に採用の質を測定する情報=定着率、エンゲージメント、業績評価」と書かれています。
早瀬さん:採用の質のはかり方について、令和トラベルの田村博司さんがnoteでわかりやすく書かれていたので紹介します。
「採用時点で判断すべき3つのポイント ①即戦力性 ②伸び幅 ③その人が活躍する時間」を入社後に測定し、3つの掛け算で採用の指標をみることが必要という内容でした。役割と責任を明確化し、それに対してリーダーシップを発揮したかどうかがポイントですね。
半田:期待値を設定しておく、というのは面白いですね。ここでも経営者マインドをもって、1人ひとりにどういう活躍を期待しているかを事業責任者と話すことができれば、質の高い採用を実現できそうですね。
多様な候補者と接点を持ち、スペシャリストを活かすマネジメントスキル
早瀬さん:みなさんお気づきの通り、採用はナーチャリングの時代です。カジュアル面談をはじめ、副業、業務委託、さまざまな関わり方の候補者が爆増し、今後もますます増えていきます。これからの時代、接点を得た候補者をコミュニティにまとめ、タッチポイントを継続しながら適切なタイミングで訴求するスキルこそ採用担当者に必要不可欠と言えるでしょう。
半田:ちなみに上手く展開している会社はありますか?
早瀬さん:例えば、アメリカでは面接中に「SNSをフォローしてください」と伝えるなど、タッチポイントをSNSというカジュアルな場にして訴求する会社が上手くいっていますね。
半田:なるほど。さらに候補者だけでなく、採用チーム自体にもさまざまなケイパビリティが求められていますよね。例えば、採用担当にはマーケッター、採用システムにはITコンサル出身者など。私たちのチームにもうすぐAIエンジニアも加わる予定です。そんな中、求められることはスペシャリストとコラボしたり、スペシャリストの能力を活かすマネジメントスキルと言えます。
さらに、レポートの「採用担当者がどの能力を伸ばしていくべきか」という部分で記載されているように、採用担当者自身のスキルアップも必要です。
「強い採用チーム」を目指すためのトレーニングとして、①社内プログラムを自分で開発する、②社外研修を受ける(面接でのヒアリング力など)、③日常的な同僚との学習を奨励するといった内容がありますが、自学自習は続かないので、学びのコミュニティに自分から足を突っ込むというのは大切ですね。
採用担当主体でリーダーシップを発揮し、現場や経営に向かっていく力
早瀬さん:レポートでは、以下の記載もあります。
海外に比べると日本企業では、採用担当がリーダーシップを発揮して何か行うことはまだまだ少ないように感じます。これからの時代は、大人のケンカができるスキル、つまり会社や経営に対して理路整然と交渉する力がますます求められます。
例えば、経営はダイバーシティ&インクルージョンと言いますが、採用は学歴・キャリアなどバイアスの温床です。シリコンバレーの企業などでは、無意識の思い込みを排除する勉強会を入社時の研修で必ず取り入れていますが、日本企業でも採用担当主体で行うといった助言をしていくべきだと感じます。
半田:リーダーシップを発揮するためには、人事・採用にポリシーの一貫性も必要です。人事はどうしても時間がかかるものです。成果の回収軸をどの時間軸で持つのか、どんなデータを取得するのか、着想から実行、インパクト創出まで3〜5年かかってしまうこともあるので、中心となる採用担当者の定着率が鍵ですね。一貫性を持った人がたくさんいないと強い組織にはならない。
早瀬さん:一方で、企業側も採用における短期の施策を重要視しすぎていると感じます。その結果、採用担当者が短期の施策ばかり行い、中長期の施策の優先度を下げてしまう。
半田:そうですね。経営側が採用を評価する軸に、短期だけでなく長期の時間軸の視点を入れることが大切ですね。また、中長期の施策を行う上でプロジェクトマネジメント力も必要と言えそうです。
これからの時代、採用担当者に求められる仕事のレベルの高さに驚きます。自ら学び、スキルを高め続ける環境をつくっていきたいですね。
最後になりますが、エクサウィザーズの採用部では一緒に働く仲間を募集中です。目の前の仕事を頑張ると、自分も成長でき、社会課題も解決できる環境です。採用×AIで社会課題を解決しましょう。
興味を持ってくださった方はお気軽にご連絡ください。本日はありがとうございました。