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これからの多様な働き方〜多拠点ワーケーション

風のように自由に、土と混じり合い生きる

風のように物理的にも精神的にも自由に動きまわり、その土地の環境・文化と混じり合いながら生きていく。

どうも、株式会社エクサウィザーズのデザイナー職で、プロダクト・マネージャーとして働いている佐々木レイです。自称AI Brain Catalystとして、AI技術と脳科学の融合による幸せな社会の実現を目指しています。「これからの多様な働き方を語るならレイさんでしょう」というオファーがあり、多拠点ワーケーションの実践者としてお話しさせていただきます。

多拠点ワーケーションとは

「多拠点生活」と「ワーケーション」を組み合わせた僕の造語です( ̄∇ ̄)。全国を転々しながら、平日は働き、休日はローカルな生活を送っています。

ちなみに、ワーケーションも、ワーク (Work) とバケーション (Vacation) を組み合わせた造語です。国によってWorkationと表現したり、cありのWork"c"ationと表現する多様性があるようです。(Google Trendより)

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Google Trendsより

ワーケーションのきっかけ

2021年の夏からワーケーションを開始しました。きっかけは、

・リモートワークが定着してきて、もはや同じ場所にいる必要性を感じなくなった
・仕事で煮詰まったとき、在宅ワークだと同じルーティンばかりで、突破口が見つからなかった
・社会の変化、組織のカルチャー、個人の状況などから、論理的に思考するとワーケーションをしない理由がなかった

などです。まぁ、思い立ったら吉日、行動を起こすのが人生を豊かにする秘訣なので、エイやっと始めました。最初は心理的なハードルがあっても、よくよく考えてみれば、大抵そんなハードルは幻影に過ぎないと気づくものです。

まず、月10日間のワーケーション生活から始めました。そんな生活を半年ほど続けていると、家に帰るが面倒&家賃がもったいなくなります。なので今は、賃貸マンションを解約し、住所不定のアドレスホッパーとして全国をめぐっています。

ちなみに、元々は旅行も年に2~3回行く程度で、仕事or勉強に時間を割くような「ワーク・スタディ・バランス」を探究する人間でした。それがワーケーションをきっかけに、「ワーク・ライフ・バランス」を極めようとしており、それがスタディにも良い影響を与えています。このように価値観が変わるのも面白いものです。

ワーケーションの実態

ワーケーションの実態として、山梨大学の大規模な調査が参考になります。

全国47都道府県に在住する男女20~64歳の就業者(指定職業・職種を除く、76,834人)に対し「ワーケーション」「テレワーク」それぞれの実施状況を聴取し、そのうち、「直近1年間にワーケーションを実施した」1,000人を対象に「ワーケーションに関する調査(2021年3月)」を実施しました。

山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

直近で行ったワーケーションの実施場所は「自宅や会社から離れた観光地」が多く、実際に仕事をした施設は「ビジネスホテル、リゾートホテル、シティホテル」が多いようです。ちなみに、僕は「ゲストハウス ・コリビングサービス」派なので6番目ですね。(図1)

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山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

ワーケーション実施時の働き方は、基本的には「業務時間内は仕事中心」で、業務時間外での観光は「行う/行わない」が半々くらいのようです。ワーケーションの語源からするとワーク+バケーションなので、業務時間外は積極的にバケーションをすれば良いと思うのですけどね( ̄^ ̄)。(図2)

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山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

ワーケーション実施時の同行者は、一人旅が多いのは当然ながら、二人旅や子供を含む家族旅行も多いようです。もはや、皆さんがどのような状況であれ、ワーケーションをしない理由がないですね( ̄∇ ̄)。(図3)

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山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

勤め先でのワーケーション制度の導入状況として、6割以上で制度が導入されているようです。ちなみに、僕は自費で勝手にやっているので、「隠れワーケーター」と呼ばれるようです((((;゚Д゚)))))))。全然隠れているつもりもなく、今回のように会社の公式noteでも発信しており、制度はなくても自由な会社だったりします( ̄∇ ̄)。

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山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

ワーケーションの効果

ワーケーションの実態が見えてきたところで、では、どんな効果があるのでしょうか?ワーケーション調査結果を踏まえて、個人的な経験、および、脳科学の知見を交えてお伝えします。

・日常と異なる経験ができて刺激を受けられる
・自分の趣味を楽しめる
・仕事に集中できる
・これまでと異なる環境で新たなアイデアや企画が生まれる
・地域の人や施設たちとの交流ができる
・地域への貢献ができる

山梨大学・ワーケーションに関する調査(2021年3月)より

日常と異なる経験ができて刺激を受けられる

ワーケーションを実施して圧倒的に変化したのは、平日の朝活ウォーキングをするようになったことです。在宅ワークだと、どうしても運動量が減ってしまいます。それを補うためにスポーツジムに通ったりもしましたが、ルーティン化していき、あまり刺激がありません。ところが、ワーケーション先で朝活ウォーキングをすると、毎日が刺激に満ちています。

例えば、長崎県の五島列島でワーケーションをしていた時、今までに見たことのないような朝焼けを見て、感動してしまいました。

また、北海道の白老町でワーケーションをしていた時、アイヌゆかりの湖「ポロト湖」で、朝の静けさの中、自然と呼吸が深くなりました。

自分の趣味を楽しめる

スキューバダインビングやシュノーケルが趣味なので、沖縄県の石垣島でのワーケーションは最高でした。平日の朝6時、ゲストハウスでヨガをしていたら、スタッフの方からシュノーケルに誘われました。仕事の開始時間まで、1時間ほどサクッと潜る。これがニューノーマルな生活スタイルですね。

また、趣味も増えました。例えば、長崎県の五島列島でワーケーションをしていた時、レンタカーが予約で埋まっており借りられず、路線バスも本数が少ないため、島を一周する手段としてレンタサイクルだけが残っていました。正直、体力には自信がありませんでしたが、美しい風景の後押しもあり、島一周100kmを完走することができ、それでサイクリングが趣味にもなりました。

ちなみに、在宅ワーク中心のときの消費カロリーは、Fitbit測定で一日平均2,000kcalだったのが、ワーケーションを始めてからは2,500kcalになり、25%も増加しました。また、腰痛が軽減し、不眠症も改善し、とても快調です。心と体の健康大事ですね。

仕事に集中できる

ワーケーションで都市部から地方に行くと、明らかに人口密度が減ります。例えば、北海道の小樽の運河沿いのカフェで仕事をしていた時、隣の席と密になることはなく、適度な距離感と雑音の中で、仕事に集中できました。

「いやいや、会議が多いから、そんな働き方はできないよ」と言う方もいらっしゃるかと思います。しかし、会議というのは合意形成の場であり、仕事のアウトプットを新たに生み出す場ではありません。より生産性を上げたいなら、会議をできるだけ減らし、文章化に集中して、情報公開に力を注ぎましょう。下記のように、リモートワークで成功して1兆2000億円で上場したGitLab社が、実践ノウハウを公開しているので参考になります。

①本社の代わりに、世界中で採用して世界中で働く
②決められた労働時間よりも、柔軟な労働時間を
③口頭で説明するよりも、書面にして知識を記録
④オンザジョブトレーニング(OJT)よりも、やり方を書面に
⑤知る必要があるときだけ教えるよりも、情報公開を
⑥ドキュメントをトップダウンで管理するよりも、誰でも編集できるように
⑦同期的なコミュニケーションよりも、非同期的なコミュニケーションを
⑧労働時間よりも、仕事の成果を
⑨非公式なコミュニケーションチャネルよりも、公式なコミュニケーションチャネルを

「全社員フルリモートで1兆2000億円で上場したGitLabに学ぶリモートワークの心得」より

これまでと異なる環境で新たなアイデアや企画が生まれる

都市部の小さな自宅部屋や窮屈なオフィスで仕事をするより、広々としたコワーキングスペースを利用すると創造性が高まります。実際、新たなアイデアを生みやすい環境として、脳科学では天井の高い場所が良いと分かっています。例えば、長野県の白馬でワーケーションをしていた時、青空の下、アイデアを青天井で出し続けました。

脳科学的には、一人でお風呂などに入りリラックスして、ボーッと心をさまよわせ、デフォルトモードネットワークを活性化することで、創造性が高まることが分かっています。青空の下、流れる雲をボーッと眺めながら物思いにふけることにも意味があるのです。創造性を高めるコツを別のnoteでも書いていますので、ご興味あればご覧ください。

ちなみに、メンバーが集って意見を出し合う「ブレスト」は、合意形成にはなっても、創造性を下げますのでご注意ください。一人で静かにアイデアを考えて、それから他のメンバーに共有する習慣を身につけましょう。

地域の人や施設たちとの交流ができる

ワーケーションの最大のメリットは、地域の人と交流できることだと思います。「旅行 (Travel)」 と「旅 (Journey)」 の違いが語られることもありますが、ワーケーションはまさに旅 (Journey)です。

・旅行 (Travel):観光、同行者、休息
・旅 (Journey):冒険、出会い、成長

出会った人をあげるとキリがなく、さまざまな刺激をいただいて、成長させてもらいました。

・日本を5周したカメラマンの卵の男子
・地産地消ツアーを推進する女子
・元大手事務所のプロミュージシャンの男性
・カヤック世界チャンピオンの女性 etc

例えば、長崎県の五島列島を旅していた時、郷土料理の居酒屋カウンターにいた常連のおじ様おば様と意気投合しました。おじ様のボトルキープの焼酎をどんどん頂いて、数年ぶりに記憶を無くして、どうやって宿に戻ったのか...しかも、翌朝5時に起きてフェリーに乗る予定の中、なぜか時間通りに目が覚めて、二日酔いでフェリーに間に合うという旅人スキルの獲得。まさに、旅の「冒険・出会い・成長」が凝縮した出来事でした( ̄∇ ̄)。

地域への貢献ができる

地域の人との交流が増えると、地域への貢献につながることもあります。例えば、ゲストハウスに長期滞在しているとスタッフとも仲良くなり、料理の新メニューの味見をして、ゲストとしての意見を求められることがあります。長崎県の壱岐では「壱岐ゴールド」焼酎をアイスにかけることを勧めて採用されたり、山梨県の富士河口湖では「富士山麓」ウィスキーをアイスにかけることを勧めて採用されたりと、さまざま土地で地酒をアイスにかけまくっています( ̄∇ ̄)。

また、地元の土着の人では気付いていない魅力を発見できるのも、旅する風の民の特徴です。例えば、長崎県の五島列島でワーケーションをしている時、朝散歩をしていたら、蛤浜という海岸が干潮でした。「これは五島のウユニ塩湖では!?」と思い、写真を撮ってInstagramにアップしたところ、地元の方から、

近くでいつも見ているのにウユニ塩湖に例えられるとは思いませんでした。すぐ裏が蛤浜の住人より。

というコメントが。さらに、ワーケーションマガジンでも写真が紹介され、さらにさらに、それを見た長崎移住ナビでも紹介されました。これもちょっとした地域貢献です。

これからの多様な働き方

これからの多様な働き方の一例として、多拠点ワーケーションをご紹介しました。社会は、多様な考えを受け入れる方向に進んでいますし、多様に働くための環境も整いはじめています。皆が、同じ場所で、同じ時間に、同じ服で、同じように働くことが生産的だった時代から、日本は前進すべき時ではないでしょうか。

人や社会は変わることができます。人の脳には可塑性という特徴があり、柔軟に思考回路を変えられるのです。定住・安定・同質性を求めるのが日本人の根底にあると思われがちですが、それは狭い見方です。我々日本人は、遠い昔、アフリカの奥地から冒険してきた旅人なのですから。

ワーケーションを実施する上での具体的なノウハウなどは、下記のnoteに書いています。ご興味がある方はご覧いただき、ワーケーションを実践しましょう。エクサウィザーズ は、多様な働き方を推奨する会社です。


エクサウィザーズでは一緒に社会課題解決をしてくれる仲間を募集しています。