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エンジニア? デザイナー? 目的をスムーズに達成し、感情を動かすプロダクト

AIを用いて社会課題を解決するエクサウィザーズのデザイナーに、ともに働くデザイナーがインタビューをする企画[Designer x Designer]。

エンジニアからキャリアをスタートし、UIデザイナー・デザインエンジニアとして、AIプロダクトをデザインする高田さんに、コミュニケーションデザインを担当する川上がインタビュー。エンジニアの経験がデザインにどう活きているのか?を伺いました。


ーーキャリアのスタートはエンジニアですよね?どういったご経歴なんでしょうか?

ゲーム会社にエンジニアとして新卒入社し、iOSやAndroidゲームのクライアントサイドを、Unityというゲームエンジンを使って開発していました。

2年半で4タイトルに関わり、20人くらいのチームから150人くらいのチームまで幅広く経験しました。チーム構成は、プロジェクトマネージャー、クライアントサイド・サーバーサイドのエンジニア、UIデザイナー、3Dデザイナー、イラストレーター、プランナーでした。エンジニアとデザイナーの人数が多かったですね。

みんなで協力してひとつのタイトルを作り上げる文化だったので、エンジニアの私も当時からデザインにある程度関わることができていました。


ーーデザイナーへのキャリアチェンジのきっかけは?

新規開発プロジェクトでUIのプロトタイプを量産した経験から、ゲームらしい実装部分よりもUIの実装に面白さを覚えていました。しかし、規模の大きなゲーム会社ではエンジニアがUIデザインに染み出せる範囲は限界があり、より深くデザインに関わりたいと思っていたので、ライブ配信サービス等を手掛けるスタートアップに転職しました。入社時はエンジニアでしたが、立ち上がったばかりの部署でUIデザイナーがおらず、担当しているプロダクトのUIを自分でデザインするようになりました。

もともとこの会社では、「もっと自分を表現したい」「あの舞台に立ちたい」そういった夢を持っていながら、環境要因によって叶えることができない人たちに対してステージを用意する。そんなサービスを提供していました。

さらに当時、VTuberが盛り上がり始めた時期で、映画のサマーウォーズのように、ひとり1つアバターをもって、自分の理想の姿を反映させる。自分の容姿に自信がなかった人でもバーチャルのステージを通して自分を表現する、アーティストになる夢を叶えられるようになる。誰もが自分のアバターを持つことが当たり前になったら、世界が変わるかもとワクワクしていました。

出典:サマーウォーズの仮想都市OZ


UIデザインをきちんと<突き詰めたい>


ーーデザインの難しさを感じることはありましたか?

バーチャルキャラクターのライブ配信がARで見られるサービスもつくりました。ライブ会場に行かなくても目の前がライブ会場になるイメージです。VRでも同時に配信していて、そちらはライブ会場に入り込むような体験ができます。

これまでの世の中にない全く新しいサービスだったため、実際に動くプロトタイプをつくってデザインを検証することが多かったのですが、例えば、ライブ配信中にステージ上を狙って、ギフトをスワイプ操作してギフティングをするという、ARの特性を活かしたインタラクションを試しました。

しかし、この操作方法だと投げる行為に集中しすぎてしまい、本来注目すべきライブ自体に集中できなくなるなど問題が起きました。いわゆるマルチタスクの状態です。ARという技術ドリブンで考えたがゆえに起きてしまった失敗ですね。この場合はARを活かすことよりも、コンテンツに集中できるインタラクションにしたほうがよかったなど、新しいサービスでのデザインの難しさを感じました。

新規サービスを4つ立ち上げましたが、デザインを1人でやっていたのもあって自分のスキルを客観的に見てみたくなり、周りにデザイナーがたくさんいて、かつ新しい分野へ挑戦ができる環境を求めてエクサウィザーズに参加しました。1人のデザイナーだと個人の限界がプロダクトの限界になってしまい、2人3人と増えると掛け算でよくなっていくので。


ーーエクサウィザーズではどんなデザインを?

「とりんく」という、保育園や幼稚園でのお子さまの写真にまつわる業務を効率化するサービスを担当しています。お子さまの写真を自動で撮影し、選別や仕分けを自動化して業務を簡略化することで、保護者が見逃してきた、お子様の成長や人生の瞬間を届けることもできる、そんなサービスです。
「とりんく」は複数のアプリから構成されていて、撮影用アプリ、社内オペレーション用アプリ、園の先生用アプリ、保護者用のアプリ、すべてのUIデザインを並行して進めています。細かい仕様を定義する前にFigmaでモックアップを作って可視化し、PdMやエンジニアとイメージをすり合わせながら仕様を固めていく動きが多いです。

また、自分でSwift等のコードを書いてテクニカルプロトタイピングをすることもあります。Figmaのプロトタイプ機能では表現しきれない少し特殊なインタラクションでも、手触りを確認しながら提案できるところは前職までのエンジニア経験が生かされている部分です。

※画像はこの記事のためにつくったプロトタイプで、実際のサービスではありません。

エクサウィザーズではUIデザインを一度<突き詰めたい>と思っています。これまでデザイン以外も含めて広く浅くやってきたので、自信を持ってこれができます!と言いたいですね。


ーーモバイル用デザインシステムの取り組みについてお聞かせください。

エクサウィザーズでは、生産性の向上とクオリティの担保をするためにデザインシステムを作っています。デザイナーは主に2名で活動しており、1人がWeb、私がモバイルを担当しています。

デジタルプロダクトは自由度が高いので、いくらでも崩すことができます。それぞれのデザイナーの思想が入り込んで秩序が乱れてしまう。なのでデザインシステムで制約を設ける必要があります。

各デザイナーの経験値もバラバラなので、採用しているUIフレームワークに対する理解度にも差があります。デザイナーがフレームワークの特性を理解しないまま、UIを描き、それをエンジニアが頑張ってコードで再現する、というようなことをやろうとすると、本来10分で実装できるものに半日掛かる場合もあります。

UIフレームワークやプラットフォーム側の思想と実装を理解した上で、デザインに落とし込んでいく必要があるため、そういった面でもエンジニアリングスキルは役に立っていますね。


抽象的な物事を整理して具体化するスキルは、デザイナーにも必要


ーーエンジニアリングとデザインの関係性についてもう少しお聞かせください。

UIデザイン業務のほとんどが、抽象的な物事を構造化して整理しUIに落とし込むことで、そこにはエンジニアリングスキルが大切だと感じています。あるオブジェクトを、どのくらい抽象化して定義すべきか。システムは今後も拡張されていくので、拡張性やメンテナビリティも考慮しながら作れることは、エンジニアだけでなくデザイナーもあると望ましいスキルだと思います。

また、課題の根本を粘り強く考えるデザイナー側の理想と、煩雑な実装を避けてコードを小さくキレイに保ちたいエンジニア側の理想。両者のバランスを取りながら仕様の提案ができることも大切なスキルですね。

コードを書ける必要はないですが、実装の理解はある方が望ましいです。エンジニアとデザイナーでギャップが生まれ、PdMが間に入ってこのギャップを埋める。というプロダクト開発によくある作業がなくなりますし、ここの実装を頑張ってもユーザー体験はよくならないような、実装工数に見合わないデザイン要求も減ります。


「そのアプリを使っている自分が好き」だと思えるようなプロダクトを作る


ーー高田さんにとってのデザインってなんですか?

ユーザーにとって良いプロダクトをつくるための手段です。目的をスムーズに達成できること。そして、楽しい、嬉しい、かんたんに出来た!などの感情を動かすこと。ユーザーの目的がとても大きくて、それが達成できるプロダクトだったら、楽しくなくてもいいんですが、例えば習慣を作る、タスクを管理するなどが目的の場合、楽しくないと続かない。エンジニアからデザイナーになったきっかけでもあります。

もともとプロダクト作りが好きで、実装面だけを頑張ってもなかなか”良いプロダクト作り”は達成できなかったんですよね。今後は、「そのアプリを使っている自分が好き」だと思えるようなプロダクトを作るのが目標です。


ーーメタバースなどのうねりがありますがどう思いますか??

私は、最新技術が好きで、前職ではxR、今はAIと経験しているので、AI × メタバースの領域にも挑戦していきたいと思っています。ただ個人的には、まだソフトウェア技術の進化にハードウェアの進化が追いつけていないなと感じています。今は娯楽が多い時代なので、少しでも起動や操作に手間が掛かるとモチベーションが喚起されない。デバイスの今後の進化に期待しています。


ーーどんなデザイナーと仕事をしたいですか?

とにかくプロダクト作りが好きな人と働きたいです。エンジニア経験のあるデザイナーはもちろんですが、自分と違うタイプの、バリバリなクリエイティビティをもった人、そんな発想あったか!みたいな刺激をもらいたいです。慣用的なUIが正義になりがちですが、一歩踏み出した少し驚きのあるUIを作りたいと思っています。


刺激ある発想をUIにできるデザイナーの方、カジュアルミーティングしませんか?


みんなにも読んでほしいですか?

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