「浪漫と算盤」で社会課題解決を図る集団、AIプラットフォーム事業とは?
はじめに
こんにちは!アドベントカレンダーも8日目ということで、今日はエクサウィザーズの2大事業の1つであるAIプラットフォーム事業部の紹介をしたいと思います!
中身に入る前に、まず自己紹介をさせてください。
私は前川智明と申しまして、エクサウィザーズでは執行役員/AIプラットフォーム事業部長を務めています。東工大で半導体を学び、ソニーを経てボストン・コンサルティング・グループ(以下BCG)に入社しました。BCGではヘルスケア・消費財・自動車・保険・金融業界など数多くのプロジェクトに従事し、プロジェクトリーダーとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトも推進してきました。
30代も半ばに差し掛かり、そろそろ自身で事業を創っていきたいという思いから、2019年に縁あってエクサウィザーズに入社。国内介護事業の立ち上げを経て、現在はAIプラットフォーム事業部(以下AIP)を管掌しています。介護事業の立ち上げをしていた縁もあり、経済産業省の認知症イノベーションアライアンスWGの委員も務めています。
「なぜBCGからエクサウィザーズへ?」は下記リンクに譲るとして、今日は「AIPってなんぞや?」について皆さんにお伝えさせていただければと思います!
AIPが大事にしている「浪漫と算盤」とは
AIPの事業はシンプルにいうと「顧客の経営課題解決を通じて、産業革新/社会課題解決を実現する」ことにあります。会社として「社会課題といえばこれ!」というものを定めているわけではないので、多種多様な業界(金融、保険、消費財、エネルギー、自動車、通信/テクノロジーなど)のクライアントとタッグを組み、様々なテーマで年間300件にも及ぶ案件をこなしています。
SDGsやESG投資、カーボンニュートラルへの関心の高まりもあって、社会課題解決に通じるテーマは協業させていただくクライアントにとってもCXOアジェンダであることが多く、難易度は高くも取り組む意義の大きい案件が多いのが特徴です。
事業を進めていくうえで、個人としても組織としても大事にしていることがあります。それが「浪漫と算盤」です。渋沢栄一氏が1916年に刊行した『論語と算盤』をもじったものですが、多くの経営者(さらに椎名林檎や宇多田ヒカルまで!)も引用されています。私もエクサウィザーズを受けていただく方の採用面接の際に、たまに引用させていただいて事業を説明する際に使っています。
AIPは社会課題解決型プロジェクトを推進していますが、同時に「事業会社」としての顔も強く意識しています。「社会課題解決(≒浪漫)を進めながら利益追求(≒算盤)にもこだわる」ことを目指しています。どちらかに寄りすぎないようバランスを見極めながら、社会課題の解決を追求しつつ、事業としても成長を続け、数多のステークホルダーの皆様にも還元をしていく。これが、AIPが目指している理想像です。
AIPが手がけるプロジェクト例
では、実際にどのようなプロジェクトをやっているのか?それをここではご紹介したいと思います。ただ前述のように、AIPで扱う案件はCXOアジェンダであることが多いのですが、それゆえに秘匿性が高く、詳細を話せるものは少ないのが申し訳ないです(これが本当にもどかしい・・・すみません!)。
①社会実装
「生産性の向上」は日本における重要な社会課題の一つです。
ヤマト運輸様はかねてより約6,500店ある宅急便センターの数ヶ月先の業務量を予測するため、機械学習モデルを毎月作成し、需要に応じた効率的な経営資源の最適配置とコスト適正化を推進していました。一方で、毎月運用する機械学習モデルは複数あり、その運用作業(月次トランザクションデータ/マスタのファイルの準備、設定ファイルの書き換え、プログラムの手動実行など)の負荷が重く、事業部への予測結果報告までの運用スケジュールが短期的なため、機械学習モデルの再作成や予測の再分析が難しい課題も抱えていました。
こうした課題を解決するため、エクサウィザーズはMLOps(Machine Learning Operations:機械学習オペレーション)の運用環境を構築し、月次で手動実行していた「データ抽出→前処理→学習→予測→評価」など一連のプロセスを自動化しました。結果、月次の機械学習モデルの運用が高速化し、余裕を持ったスケジュールでの運用が可能になることで、運用工数の大幅な削減に成功しました。
AIのモデルは作るだけでは意味がありません。実際にAIを使ってインパクトを出そうとするには、クライアントのオペレーションにまで入り込み、実運用の中で使われてからが本番です。今回はヤマト運輸様のケースでしたが、こうしたMLOpsの環境構築を通じて業界問わず生産性向上という社会課題に挑戦をしています。
②DX
DXという言葉を聞かない日はないほど、各企業はデジタルによる変革を経営アジェンダの一丁目一番地にしています。DX実現によりもたらされる恩恵で解決できる社会課題は多く、AIPとしてもDXを通じた産業革新を目指し、様々なクライアントとご一緒しています。
AIPがユニークなポイントの一つとして、プロジェクト型の案件でDX支援を行っているだけでなく、複数のクライアントと「業務提携」という形でDX推進している点が挙げられます。
例えば、アフラック生命保険株式会社様、住友生命株式会社様、パーソルホールディングス様など、日本を代表するクライアントと提携をしており、攻めと守りの両面でDXやデジタルを活用した新規サービスの共同開発を進めています。
AIPには戦略コンサルティングファーム出身者、事業会社出身者、UI・UXデザイナーがバランスよく所属しており、それぞれの強みや経験をかけ合わせることで成功確度の高いDX支援を実現しています。
③R&D
”The best way to predict the future is to invent it.”というアラン・ケイの有名な言葉があります。直訳すれば「未来を予測する一番いい方法は、自らそれを作ることだ」ということなのですが、AIPでも未来を変えうるような「実現できるかはわからないけれども、できたら社会に大きな影響を与えられるかもしれない」案件にチャレンジしています。
高野山と組んで進めているAIの研究はその一例です。
高野山では100日間こもる修行があり、その間は精進料理のみを食べるのですが、修行の前後の健康状態がどう変化するのかをAIで分析することで、体や心にどういう変化がでるのかを検証しています。
殺生を禁じる仏教の修行の中で、精進料理を食べ続けることによる心身の変化のメカニズムを解明できれば、殺生しないという行動変容を起こすナッジを組み立てられる可能性があり、メンバーも結果を楽しみにしながら協業を進めています。
他にもサウナのように「ととのう」空間構築の提案や、介護や保育のような属人的スキルにパフォーマンスが左右されるような領域の可視化に挑戦するなど少し変わったR&Dにも取り組める土壌がAIPには備わっています。
AIPで働く魅力/面白さ
AIPはコンサルティングファーム出身者も多いせいか、「結局コンサルとやっていることが同じじゃないの?」とよく聞かれます(本当によく聞かれます笑)。共通する部分とそうでない部分があるなと思っているのですが、そうでない部分にフォーカスして私個人が感じているAIPで働く面白さをお伝えするとすれば、キーワードは「制約と誓約」です。(ネタ元は『HUNTER×HUNTER』です。早く連載再開してほしいです・・・。)
①制約=ありません
AIPで事業を創っていくにあたり、会社がかける「制約」はほぼ無いといっても過言ではありません。個々人が感じる社会課題はそれぞれ違うという考えのもと、「自分で好きなクライアントを見つけ、面白いと思う提案をし、価値創出まで伴走する」ことを推奨しています。もちろん、一筋縄ではいかないことも多くハードルも高いですが、エクサウィザーズにある様々なアセットを総動員してクリエイティブな提案をしていくところに大きな楽しさがあります。
アセットの例でいえば、AIはもちろんのこと、「ユマニチュード®」というコミュニケーション・ケア技法、「exaBase エッジカメラ」というAIエッジカメラ、マルチモーダルロボット、UI/UXデザイナーによるプロダクトモック(まさに神速!)、コーポレートスタッフのスキル(デジタル人材採用力、IR知見、海外の最新トレンド情報収集力など)などです。
これらを総動員して、社内のエンジニア・UI/UXデザイナー、ドメインエキスパートを巻き込みながら自分なりの提案をつくることができるのはAIPならではの楽しさです。初回の商談時からミニアプリやコンセプトモックを持っていって、「一緒にこういうサービスを作っていきませんか?」といった提案は日常茶飯事ですし、「フルスタックBizDev」冥利に尽きる瞬間でもあります。
また、協業のあり方もプロジェクトベースから業務提携、JV組成やM&Aなど制約なく提案できるのもAIPで働く面白さの一つです。「自分がクライアントとどう協業して、社会課題を解決したいか」をゼロベースで考えられる点は非常に魅力的なポイントだと思います。
②誓約=「事業家」としてのオーナーシップ
当然ながら、自由には責任が伴います。
「浪漫と算盤」の考え方をお伝えしたように、AIPは事業としての責務も担っていますが、売上規模としては2桁億円でまだまだ緒に就いたばかりです。そのため、AIPのメンバー一人ひとりの活動そのものが会社の業績にもたらすインパクトが大きく、プレッシャーがあると同時に事業家としてのオーナーシップが備わりやすい環境と言えます。
「浪漫」の観点でクライアントを見つけ、「算盤」の観点で提案をクロージングしきる。こうした行動を自身のオーナーシップのもとで、プロアクティブに進めていくことができるのもまたAIPで働く楽しさの一つと感じています。
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なお、AIPで働く人たちは「制約と誓約」を自身にかけたメンバーたちなので仕事への向き合い方はプロフェッショナルですが、同時に遊ぶときは全力で!というのもAIPらしさの一つです。仕事終わりに皆でサウナに行ったり、AIP企画で全社から参加者を募ってフットサルをしたり、VR/ARを使った体験をしたりといった親睦も深めるイベントも定期的に開催しています。
また、小さいお子さんがいらっしゃる家庭の方が多いので、朝夕の送り迎えや夕方以降のご家庭の時間は優先してブロックしてメリハリをつけて仕事をすることへの周囲の理解が深いのもAIPの良いところだと思います。
おわりに
エクサウィザーズは現在、上場を機に新たなスタートラインに立ち「第三の創業期」を迎えています。今日お話ししたAIPの事業モデルもバージョンアップを始めており(こちらについては明日12/9の前川知也さんの記事を楽しみにしていただけるとよいかなと思います!)、これまでの線形成長から脱皮し、いよいよ非連続な成長をとげながら、より大きなインパクトを世の中にもたしていくことを目指していきたいと思っています。
そのためには、まだまだ仲間が足りない状況です。少しでもAIP、ひいてはエクサウィザーズという会社に興味を持っていただけなら、カジュアル面談でも焼肉meet upでもよいのでお気軽に相談頂ければと思います。一緒に働ける日を楽しみにしています!
明日は、前川知也さん、板橋さんにexaBase事業部について書いていただく予定です。
(更新しました)
(撮影の時のみマスクを外しています)