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初の統合報告書 あえてこのフェーズで発行に至った理由と見えてきたエクサウィザーズの強み

エクサウィザーズの2022年アドベントカレンダーの14日目の記事です。

こんにちは。エクサウィザーズで経営企画・IRを担当している五十嵐です。エクサウィザーズでは、上場初年度となる今年、初めての統合報告書を発行しました。アドベントカレンダーも中盤に差し掛かった今回は、統合報告書の概要を説明しつつ、エクサウィザーズの魅力をお伝えできればと思います。このnoteと併せて、サステナビリティページ統合報告書本編もご覧いただけると幸いです!

統合報告書とは?

皆さんは統合報告書を読んだことがありますか?近年、SDGsなどがメディアでも取り上げられるようになり「企業が行う環境保護やダイバーシティの取組みをまとめたもの」といったイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。ですが、そういった内容のほかにも、統合報告書にはその企業を知るために必要な情報がたくさん詰まっています

統合報告書について、国際統合報告評議会(IIRC)では、

組織の外部環境を背景として、組織の戦略、ガバナンス、実績、及び見通しが、どのように短、中、長期の価値創造を導くかについての簡潔なコミュニケーション

国際統合報告評議会(IIRC)

と、定義しています。

また、統合報告書の目的と利用者については、

・財務資本の提供者に対し、組織が長期にわたりどのように価値を創造するかについて説明する

・それゆえ、統合報告書には、関連する財務情報とその他の情報の両方が含まれる

・統合報告書は、従業員、顧客、サプライヤー、事業パートナー、地域社会、立法者、規制当局、及び政策立案者を含む、組織の長期にわたる価値創造能力に関心を持つ全てのステークホルダーにとって有益なものとなる

国際統合報告評議会(IIRC)

といった説明がなされています。

これをまとめると、統合報告書とは、「その企業が中長期的にどのような価値を生んでいくか」「そのためにどのような活動をしているか」を、財務情報とその背景となる経営戦略やESGに関する情報(非財務情報)を使って説明し、投資家をはじめとした全てのステークホルダーと対話するためのコミュニケーションツールと言うことができます。

なぜいま統合報告書を発行するのか

価値創造プロセス図。エクサウィザーズがどのように価値を創造しているかを表しています

日本において統合報告書を発行している企業は年々増えていますが、2021年時点で700社程度とまだ多くはありません。また、そのうち6割超が日経225およびJPX日経400構成企業といった大企業*1であり、設立から5年、上場したばかりのスタートアップであるエクサウィザーズには、発行はまだ早いのではないかという考えもありました。

*1…出典:日本の企業報告に関する調査(KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン)

一方で、設立から間もないということは、多くの方に会社を知っていただき、これからの事業拡大のためにご協力いただかなければならないフェーズであるということです。こうしたフェーズであるからこそ、エクサウィザーズがどのような事業活動を行い、どのような価値を生み出しているかを定性的・定量的にきちんと説明することが必要であると考えました。

また、エクサウィザーズは社会課題解決をミッションとしており、事業そのものが持続可能な社会を実現するための取組みであると考え、上場初年度の今年から統合報告書を発行しています。

そして、統合報告書は前述のIIRCによるフレームワークのほか、いくつかの代表的なガイドラインや格付機関によるESGレーティング基準を参照して作られることが一般的です。

このように他社や国際基準との比較が可能な形式で毎年企画・制作することで、自社の強み弱みをとらえ、今後の戦略策定に活かしていくことができると考えています。

初めての統合報告書制作において感じた、エクサウィザーズの強み

さて、このような考えのもと制作した統合報告書ですが、会社としてまったく初めての取組みである上、直接的に収益を生み出すためのプロジェクトでもなく、「これ、本当にやっていいの・・・?」と自問自答しながらのスタートとなりました。

まだブラッシュアップが必要な部分も多いですが、この内容での発行ができた背景には、エクサウィザーズがこれまでに培った強みが大きく影響していると思います。

①トランザクティブ・メモリーを意識した経営 

特にリモートワークの環境下では「このテーマについて、社内のどの部門・誰に相談すべきかわからない」「新たな取組みを始めた際、思わぬところに影響が出てしまう」といった問題が起こりがちです。

しかし、エクサウィザーズでは、トランザクティブ・メモリー*2の向上を目的とした様々な仕組み作りがなされており、部門を越えてメンバーがお互いの得意なことや担当業務の状況を共有することで、誰に何を相談すればよいかがすぐにわかるようになっています。

【トランザクティブ・メモリー向上のための仕組み例】
・全員参加の経営会議、全社会
 情報管理に留意しながらも、全員が参加し議論に加わることができる経営会議、各事業部の取組みや新たに加わったメンバーの紹介、ベストウィザーズの表彰等を行う全社会を定期的に実施しています。
・カオナビでのプロフィール公開
 カオナビを利用し、全従業員の所属、担当業務や趣味などの自己紹介の内容を共有しています。
・シャッフルランチ
 AIがメンバーをマッチングして行う、部署を横断したランチ交流会を実施しています。

他にも、オフサイトMTGや動画ライブラリの公開等を行い、役職や部門を越えた交流・情報共有の場を作っています。

トランザクティブ・メモリーの考え方は技術開発の場においても非常に役立っており、メンバー同士のつながりによってできる集合知は、エクサウィザーズの大きな財産です。詳細はアドベントカレンダーの9日目の記事にありますのでご覧ください。

*2…アメリカの社会心理学者、ダニエル・ウェグナーによって、トランザクティブ・メモリーとは「誰が何を知っているかを認識すること」と定義されており、組織内の情報の共有化で重要なことは、組織の全員が同じことを知っていることではなく、「組織の誰が何を知っているか」を組織の全員がよく知っていることであると言われている。

参考:
Cognitive interdependence in close relationships / Wegner(1985)
Measuring Transactive Memory Systems in the Field: Scale Development and Validation / Lewis(2003)
世界標準の経営理論/入山章栄(2019 ダイヤモンド社)

②知見の蓄積がスピーディーに新たな価値に変わる 

統合報告書は多様な情報をまとめて報告するものという性質上、総花的な、あるいは抽象的な内容になってしまうことがありますが、今回は初めての発行ということを踏まえ、まずはエクサウィザーズが何をしている会社なのか?を具体的にお伝えすることを大きな目的としました。

エクサウィザーズは、顧客企業へのソリューション提供を通じて蓄積された知見と技術アセットを顧客企業内で・隣接した企業や業界内で横展開し、また、各企業へのソリューション提供で得られた知見を活かし、汎用的なプロダクトを創出するというビジネスモデルを推進しています。

そのため、exaBaseに蓄積された技術アセットはもちろん、どのような業種のお客様に対しどのようなサービスを提供したか、そのサービスや技術は他にどう応用できるかといった情報も、営業資料や広報資料としてすぐに使える形式で社内に蓄積されています。

このような蓄積があったおかげで、統合報告書制作においても、多くの事例を記事化する作業が非常にスムーズに進みました。さまざまな事例における知見や情報といったアセットが整理され、前述のように社内に共有されていることが、そのままお客様に対する幅広くスピーディーなご提案にもつながっているのだと感じています。

③多様な職種経験者が一堂に! 一気通貫でアウトプットを生み出せる

統合報告書を毎年発行している企業では、マテリアリティ(会社が優先的に取り組むべき重要課題)の策定等、サステナビリティ戦略の策定においては外部のコンサルタントにファシリテーターとして入ってもらったり、サイトや報告書の制作においては制作会社にディレクションや原稿の編集、紙面デザインを依頼したりと、多くの部分を外部の専門家に依頼しているケースもあるかもしれません。ある程度サステナビリティ情報の開示方針が固まった企業であれば、外部に制作支援を依頼するのも効率的な方法だと思います。

ですが、エクサウィザーズには戦略コンサルタントや人材コンサルタント、記者経験者、デザイナーといった、バラエティに富んだメンバーが揃っています。また、今回は初回の発行となるため、まずは自分たちが伝えたいこと・自分たちらしさを社内できちんと検討したい(そして、あわよくば制作コストを削減したい・・・)という想いから、一部の写真の撮影や翻訳等を除くほぼすべてを社内のメンバーのみで企画・制作しました。

多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集結しています(*3…2022年9月末時点 )

とはいえ、完全に内製できるからスゴイ!という話ではなく、社内に多くのスペシャリストがいることで、内部で対応できる箇所と外部の専門家に協力を依頼すべき箇所を適切に切り分けることが可能になり、コスト面でも作業の面でも効率性が担保できたのだと考えています。

また、自社で議論して設定した課題と、外部のステークホルダーから期待されている課題には、ある程度のギャップがあるものだと考えています。そのため、将来的には、ESGレーティングによる評価とフィードバックのほかにも、投資家や外部の専門家のレビューを受ける機会を増やしていきたいと考えています。

これから目指すもの

このようにエクサウィザーズの強みを最大限に活かして作られた統合報告書ですが、まだまだ課題はあると感じています。統合報告書を制作するからにはESGレーティングでの高評価を取りたいと考えています。

また、報告書そのものの内容ももちろんですが、その背景にあるサステナビリティに向けた取組みについても引き続き向上を目指し、社会課題を解決し続ける企業を目指していきます

「ExaWizards Integrated Report 2022」ハイライト

せっかくなので、ウィザーズの力を結集して作った統合報告書の推しポイントを紹介させてください!

■トップメッセージ
4ページから7ページ。「社会課題解決の具体的な方法」「事業として社会課題に挑むことの意義」といった内容を、社長の石山、会長の春田からお伝えしています。例えばボランティアへの参加や、非営利組織での活動でも社会における課題を解決することはできます。しかし、なぜ事業としてそれを行うのか?というエクサウィザーズの存在意義そのものをお話ししているパートです。

■価値創造プロセスとマテリアリティ
16ページの価値創造プロセスと27ページから29ページのマテリアリティパートを一読してから全体に目を通すと、エクサウィザーズが何を目指し、何をしているのか?がよりわかりやすくなると思います。

■「多様な人材の活躍」パート
31ページから34ページ。エクサウィザーズのMission・Values・Credoの紹介と人材開発・組織開発の取組みについてまとめています。このページと採用noteを併せて読んでいただくと、エクサウィザーズのカルチャーについての理解が深まるかと思います。

■事例紹介、お客様インタビュー
39ページから65ページにわたって、エクサウィザーズが開発した社会課題解決フレームワーク「BASICs」の紹介と、実際にソリューションを提供した具体的な事例の紹介をしています。エクサウィザーズのメンバーのみならず、顧客企業のご担当者様の社会課題解決への想いも知ることができるパートです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!社会課題の解決による、エクサウィザーズの成長ストーリーをこれからも発信していきますので、どうぞお楽しみに!

15日目は事業統括部の鍵和田真人さんです!

みんなにも読んでほしいですか?

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