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チームには、技術だけでなく、「LOVE」が大切だ。Global Head of DevOpsも務めたPlatform Engineeringチームリーダーの思想

チームづくりで一番重要なことはなんだろうか。
もちろん、それは人によって違う答えが出てくるだろう。

エクサウィザーズPlatform Engineeringチームリーダーのパトリックさんは、その問いに「LOVE」だと答える。

「エクサウィザーズ」で活躍する”ウィザーズたち”を紹介するストーリー。

グローバル企業で4カ国、50名以上を束ねるグローバルヘッドも務め、まさに世界を股にかけて仕事をしてきたパトリックさん。

だが、元々は雑談をするようなタイプではなく、チームメイキングも苦手な方だった。そんな彼が異国の地でゼロからチームの立ち上げに挑戦し、「LOVE TEAM」すなわち”愛を持ったチーム"を大切にしようと思った理由とは。

◾️ プロフィール

パトリック・キューティー

イギリスのKingston大学で情報科学(Robotics)を専攻し、システムエンジニアリング、Webシステムを開発し、インフラセキュリティー、DevOpsの領域でエンジニアリングを行う。日本で働くという夢を叶えるため、2017年に来日し、Global Head of Development Operationsとして開発とマネジメントを行う。その後、2018年エクサウィザーズに入社。趣味は写真と読書、新たなことを学ぶこと。

そこに「Empathy」はあるか。初のチームメイキングで気付いた技術力より大事なもの

「僕はチームを任されるまで一人でパソコンを叩いて、あまり雑談もしないタイプのエンジニアだったんです」

パトリックさんはそう照れながら話す。過去に従業員を1万人以上抱えるグローバルロジスティクスサービス、「DHL」のDevOpsチームのグローバルヘッドを務めた経験もあるとは思えない発言だ。

大学時代からサポートエンジニアとして働いていたパトリックさん。DevOpsという概念を知って以降、あらゆるものをオートメーション化して企業の成長に貢献していくことに魅了され、その道を極めていく。

長い期間、単独プレイヤーだったパトリックさんを変えたのは、三社目として入社したDHLでのチームメイキングの経験だ。チームリーダーとしてDevOpsに携わったものの、最初は失敗ばかりだったと当時を振り返る。

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「リーダーとしてチームのバランスをうまく取れず、安心して働ける環境を作ることができませんでした。誰かがトラブルを抱えていても助け合えなかったり、スキルの高い技術者を採用したら逆にチームワークが悪くなったり。でも、それは『誰か』が悪いわけじゃない。僕自身がチームメンバーにちゃんと向き合えてなかったんです

チームプレイには相手を思う気持ちが必要だ。そう痛感したパトリックさんは「Empathy」をチームのフィロソフィーとして掲げ、自ら積極的にチームメンバーとコミュニケーションを取り始めた。

「最初は全然ダメでしたね(笑)。「おはよう」って声をかけても一言も返ってこないこともありました。何度も挑戦しては失敗を繰り返していたから、実はすごく辛かった。

それでもチームミーティングを欠かさず、問題を隠さず共有したり、雑談で会話できそうなトピックを探して提案したりと、チームの架け橋になろうと諦めずに続けていました。すると、だんだんとメンバー間でコミュニケーションが増えていったんです」

特に彼が意識していたのは、徹底的にメンバーの気持ちを考えること。チームメイトが好きなことならば、知らないことでも興味を持って会話をする。例えば、好きなスイーツを知れば「好きだと聞いたからぜひ」と差し入れをした。

「安心して働けるために、メンバーの好きと仕事をどう結びつけたら良いか、いつも考えてました」

日々の取り組みが功を奏し、チームにポジティブな空気の循環が生まれ、チームの成果も上がっていった。

日本で仕事を続けるための転職活動で気がついた「心の支え」が少ない環境

その後、幼少期から大好きだった日本で働くためDHLの日本支社、ウィリアムズ・リー・ジャパンに転籍。チームリーダーとして、インド、南アメリカ、イギリスの3カ国・50名近いDevOpsチームをまとめるグローバルヘッドに就任する。

3カ国とは時差もあり、担当している業務内容も、内部のチームも国ごとに異なっていた。当時はまだ、誰が何を担当しているかを管理する人材もおらず、ゼロから世界中のDevOpsチームをまとめなければならなかった。

「インドチームは早期にリーダー業務を他のメンバーに任せられましたが、イギリスと南アメリカは僕が1対1で仕事を依頼することも多かったですね。業務内容も幅広く、オールラウンドな知識が必要。マネジメントとリーダーを兼ねた役割でした」

多忙な日々だったが、念願の日本での勤務。少しくらいの無理は全然平気だったと振り返る。しかし、ある日突然、キャリアの今後を考えなければならなくなる。会社の方針からグローバルのDevOpsチームがインド支社で仕事をすると決まったのだ。

日本に住み続けたい、これからも日本で働きたい。

この夢を諦めることはできず日本での転職を決意した。

「言葉の問題やコミュニケーションの問題はあるかもしれないけれど、日本でゼロの状態から自分がすべての責任を担う仕事に挑戦したいと思ったんです」

この挑戦に立ちはだかったのは、「心の壁」だった。

パトリックさんは日本語も日常会話は問題なく話せるスキルを持っており、日本にも友達はいた。しかし、自分自身が心を許しすべてをさらけ出せる「心の支え」はなかなか見つからなかったそうだ。退職後、東京の街を眺めると多くの人がスマートフォンやSNSで連絡を取り合い、会話が少ないことも気になった。

こうした経験と気付きは、彼がエクサウィザーズに入るきっかけにもつながっていく。

東京は『心の支え』を得る機会が少ないかもしれないと感じました。もしも自分に子どもがいたとして、この社会で生きていくのは不安だろうなと。特に若い世代へ『心のサポート』が届かないと、今後大きな問題になる可能性もあると考えているんです。

僕は弟がASDであることもあり、元々『心の支え』の問題には関心が強く、脳機能の勉強をしていたこともあります。日本で暮らして、自分の中にあった課題意識がより大きくなりました」

日本で働き続けたいという思いから転職活動を開始。大手企業から数多くのオファーもあった中でエクサウィザーズを選んだのは、「社会課題を解決する」というミッションへの共感。そして、日本のスタートアップで働くという次の壁に挑みたかったからだ。決定打になったのは社長の石山さんと技術統括部の坂根さんとの面談だった。

「彼らと会話をして『Empathy』がとても強い人だと感じました。いつもどうやって社会課題を解決するかを考えていたんです。トップにいる人がこんなに真剣に考えている会社なら、一緒に社会課題を解決する未来が作れると思いました」

Empathyの高い人たちで目指す「LOVE TEAM」なPlatform Engineering チーム

Platform Engineeringチームリーダーとしてジョインしたパトリックさん。想像していた以上にチャレンジングな環境で、最初は落ち込むこともたくさんあった。

「技術的にも人間的にも優れているメンバーがたくさんいるので、すぐPlatform Engineeringチームとして価値を発揮できると思っていました。ちょっと考えが甘かったですね……(笑)。

多くのスタートアップ企業ではワンプロダクトで事業を進めるケースが多いと思いますが、エクサウィザーズでは複数のプロダクトを並行して進めているため、プロダクトごとのDevOpsの仕組みが必要になってくる。加えて、日本語でのコミュニケーションやマネジメントもゼロから構築しなければなりません。自分の役割すら手探りで、戸惑うことばかりでした」

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最初の頃はチームメンバーから「パトさん、元気がないけれど大丈夫?」と心配されたこともあった。だが、こうした周りのサポートが新しいチームのフィロソフィーを見出すきっかけとなる。

「みんな、誰かがトラブルを抱えているようなら『大丈夫?』と聞く姿勢があります。僕はいつも『相手を思いやる気持ちを大切にしてほしい』と伝えてきました。エクサウィザーズのメンバーは積極的に行動に移して接してくれる。そうした日々を過ごす中で、Empathyの源は『LOVE』だと思ったんですPlatform Engineeringチームは『LOVE』を大事にする『LOVE TEAM』な人たちの集まりにしようと決めました」

今日までエクサウィザーズのPlatform Engineeringチームを支えてきたパトリックさん。チームメイキングに、明確な定義やルールは存在しないが、「心理的安全性」をみんなが得られる環境作りを強く意識している。

「メンバー全員とコミュニケーションが取れていれば、自然とチームプレイが生まれます。裁量権も恐れずに託しますが、もしトラブルがあったら絶対に僕が助けると伝えているんです。いつでも助けてもらえるとわかっていたら、みんなからも積極的に相談してもらえますよね。どの会社でも『助けてもらえる安心感』はポジティブな連鎖を生み、よい循環を作り出せました。エクサウィザーズのメンバーはEmpathyが高いので、そういった環境が作りやすいと感じています

「LOVE TEAM」なメンバーの規模を拡大し、「会社全体がPlatform Engineering」にしたい

彼が次のステップとして見つめているのは、「LOVE TEAM」なメンバーをもっと増やすこと。どんなときも、どんな質問にも答えてくれるメンバーがいて、助け合うことが当たり前のチームであり続けたいと願っている。彼がメンバーに求めることはとてもシンプルだ。

『ありがとう』と『ごめんなさい』が素直に言える人。当たり前かもしれないけれど、シンプルなことほど意外と難しいと思うんです。僕自身もメンバーに何かを伝えるときは使う言葉に配慮し、誤解を招かないように気をつけています。些細な行き違いを招く不幸なミスコミュニケーションだって起こり得るからです。チームメイトにも『その伝え方だと、あなたがポジティブな意味で伝えていても、相手はネガティブに伝わってしまうかもしれないから気をつけよう』と声がけをすることもあります。

『LOVE TEAM』でチームメンバーを思いやり、お互いに素直でいられる関係であることを大切にしています」

パトリックさんが、Empathyの高さにこだわるのは、DevOpsという仕事の特性も関係している。DevOpsは縁の下の力持ちとして会社全体のビジネスをスピードアップする仕事。だが、その仕組みを整えるには一定の時間が必要だ。すぐに結果を出し、注目を浴びる職種ではない。

他の部署やチームの成功を心から喜べる人に向いていると思うんです。『誰かの成功を心から喜べるか』、『相手を尊重して大切にできるか』、採用のときも僕はこの二つを重視しています

彼の夢は全社員もテストサーバーなどを設置できるようにするなど、今、エンジニアが担うあらゆる作業のオートメーション化を行うことだ。現場がより早く仕事を進められれば「社会課題の解決」により早く近づける。

「Platform Engineeringチームがリードして何かを作るのではなく、各チームにリードしてもらって、僕たちが技術的にサポートするような形でツールやプログラムを作る。『会社全体のDevOps』というシステムはGoogleなどでは導入されているかもしれませんが、少なくとも僕の知る限り、AIスタートアップではまだほとんど導入されていないと思います」

彼がどんなに苦しいときもDevOpsを辞めなかった理由はたったひとつ。DevOpsという技術が社内に伝わったときの感動が忘れられないからだ。

「最初はみんな、DevOpsって何?という感じなんです。でも自分たちが地道にコツコツと作業を進めて、プロダクトや社内のオートメーションが成功した瞬間『すごいね! DevOpsってこんなこともできるんだね』、『これがDevOpsなんですね!』って喜んでくれる。この瞬間が本当に嬉しい。だから、もっと多くのメンバーに喜んでもらうために、Platform Engineeringチームも拡大していきたいですね」

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エクサウィザーズ では一緒に働く人を募集しています。興味のある方は是非ご応募ください!

文:南條杏奈 編集 / 写真:稲生雅裕

(撮影の時のみマスクを外しています)

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