【サマーインターン体験記】機械学習エンジニア@画像処理
ENGINEER SUMMER 2021 INTERNSHIPの参加者、
倉津さんがインターン体験記を書いてくださいました!
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◆自己紹介
こんにちは!この度エクサウィザーズの夏期インターンシップに参加しました、倉津秀彬です。
私は現在北海道大学の修士1年生で、主に深層学習モデルを対象に、理論的・実用的観点の両方からモデルの圧縮率改善と精度向上にアプローチする研究を行っています。
◆インターンに参加しようと思ったきっかけ・決め手
今でこそ実用的な側面からの研究もしている私ですが、学部時代から勉強してきたのは、基本的に機械学習の数学的側面に重きを置いた内容であることがほとんどでした。もちろん深層学習を含めた機械学習全般において、モデルやアルゴリズムの改善方法を考えたり、使い方や使うべきドメインを把握するために数学的理解は必須になりますが、一方で機械学習という有用なツールをどんなに理解していても、実際に使うことがなければそれは宝の持ち腐れとなってしまいます。
自分も趣味の範囲で機械学習を使った防犯カメラシステムなどを作ってみた経験はありますが、特に誰かが使ってくれるというものでもないので改良するようなこともなく、作りっぱなしで放置しているものが沢山あります(笑)
そうした中でやはり「自分の作ったものや考えたアイデアを誰かに使ってもらえて、それが実社会での問題解決や生産性向上に繋がる経験ができないか」とサマーインターンシップを募集している会社を調べていたのですが、そこで見つけたのがエクサウィザーズでした。
本当のことを言うと、最初は「AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する」というスローガンを見て、少し胡散臭いなと感じたこともありました(笑)。しかし様々なインタビュー記事や、取り組んでいるプロジェクトなどを調べていくうちに、この照れくさくもあるスローガンに対し大真面目に取り組んでいるんだということが少しずつ伝わってきて、「それなら試しに応募してみて、どのようにこの目標と向き合うことになるのか実際に体験してみよう」と思ったことがインターンシップに応募したきっかけでした。
◆5週間で取り組んだこと
実際に5週間で取り組んだ内容としては、「河川の増水・氾濫検知とその可視化」でした。もともとは河川の増水・氾濫を検知してアラートを鳴らせるようにする、くらいの話から始まったのですが、いざモデルを構築するとなると、
・氾濫時の河川データが平常時のデータに対し圧倒的に不足している
・そもそも主要河川であれば水位計・雨量計による高精度な増水・氾濫予測が可能で画像情報だけでは太刀打ちできない
といった問題にぶつかりました。そのため一週目では、モデルをどう構築していくかといった技術的な達成目標ではなく、そもそもなぜ画像情報を使う必要があるのか、画像情報を使うのであればその有用性はどこにあるのかなど、ビジネスサイドでの視点から目標を設定し、問題を捉え直す必要がありました。
ただ目標を設定し直すと言っても、河川の増水・氾濫検知に対してどういった要望があるのか詳細に把握していない状況で考えても、それはエンジニア側からの一方的な意見となってしまい、ビジネスサイドからのニーズを正しく反映できないので、メンターの加藤さん・福原さんと話し合ってコンサル担当の方とのミーティングの場を設けていただきました。そこで上記の問題について話し合ったところ、
・河川に対して設置されている監視カメラのほとんどは有効活用されていない
・画像データからは水位計や雨量計からは手に入らない、多次元的な情報を取得できる(川の流れや流れている物体、川の色など)
・高精度な予測/避難勧告をしても、受け取り側の避難行動に必ずしも結びつかない
などの問題があることを教えていただき、監視カメラのデータから学習させたモデルの予測と可視化を組み合わせれば、カメラからの有用な画像情報を利用しつつ受け手の危機意識にも訴えるようなものが作れるのではないかと考えました。
二週目では一週目の構想を基に本格的にモデル構築に取りかかったのですが、構築にあたってはカメラが基本的に固定されていて画角等が変化しないことを利用し、画面上の河川領域をSemantic Segmentationで認識させることにより、選ぶ河川や河川の状態によらず様々な画像データから高精度で河川領域を認識することができるようになったため、ターゲットとなる河川の増水・氾濫状態のデータがなくても監視対象の学習データを7、8枚程度用意するだけで、様々な河川に対し高精度かつロバストに増水・氾濫を検知できるようなモデルを作ることができました。
三週目以降は、メンターさんのアドバイスで河川領域のマスクだけでなく流速のフロー表示も付け加えたり、リアルタイム処理を実現するためにフロー計算をマスクで抽出した河川領域上でのみ行うよう工夫したりなどさらなる改良を加えていきました。実際に組み込み機器のJetson Nanoを近所にある川まで持っていって自分のプログラムが小型組み込み機器でもリアルタイムで処理できることを確認したときは、感動もひとしおでした。またこれは思いもしなかったことなのですが、自分の作ったプログラムを見た知財の弁理士さんから、特許の出願も行っていただけるという話にまでなり、自分の作ったものが認められるような気がしてとても嬉しかったです。
◆印象に残っていること
長いようであっという間だった五週間でしたが、自分の中で一番感じたのは「人とのつながり」でした。もともと私とメンターさんだけだったのが、途中でコンサル担当の方にも取り組むべき点や改善点についてアドバイスをいただくようになり、さらには知財の弁理士さんにまで特許出願のことで意見をいただいたりなど、一人では決して成し得なかったことが人とのつながりによって形になっていくさまを見ることができ、とてもわくわくしました!特にメンターさんは、自分が週に一度出社するのに合わせてわざわざ来ていただき、勤務中も気軽に質問や相談に乗っていただくなどとても親身に接していただきました。リモートワークの中、直接顔を合わせる機会をいただいたのは問題共有やモチベーションの向上にもつながり、大変助かりました。
◆気づき・学び
もともとは研究の域に留まらず実用的なものを作る経験もしたいくらいの軽い気持ちから出発した今回のインターンシップでしたが、蓋を開けてみると自分の知らない技術領域のインプット・アウトプットを体験でき、ビジネス的側面からもプロダクトに必要な視点を学ぶことができて、そして何よりも様々な方とのつながりから多くのことを学ばせていただきました。今回のインターンシップは、人生における学びもくれた充実した一ヶ月間でした。本当にありがとうございました!
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