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人と人をつないで、多死社会の先にある「人が人を忘れ去る時代」をなくす。半導体に熱中していたメンバーが“介護”で見せた覚悟

少子高齢化が進む日本。介護領域には解決しなければならない社会課題が点在しています。

「介護は、もはや世界課題だと思っています」。そう話すのは、Careプロダクト​グループリーダー兼介護記録AIアプリ「CareWiz 話すと記録」のプロダクトオーナーを務める結城さんです。

「エクサウィザーズ」で活躍する“ウィザーズ”たちを紹介するストーリー。

もともとはパナソニックで半導体部門にて、デジタルAV等の商品企画、ソリューション営業のマネージャーだった結城さんは、なぜ介護の領域へ足を踏み入れたのか。彼が見た介護現場のリアル、「CareWiz 話すと記録」で描きたい未来をインタビューしました。

■プロフィール

結城崇(ゆうき・たかし)

大阪工業大学工学部機械工学科専攻修了。2008年3月、(株)リョーサンを経て、パナソニック(株)の半導体部門にて、デジタルAV等の商品企画、ソリューション営業に従事。2013年12月、社長PJのインド事業開発センター立上に参画し、社会課題になりつつある高齢者介護事業機会を発掘、新規事業開発に従事。

2015年4月、パナソニック エイジフリー(株) へ出向、介護サービス部門にて新規事業~品質~経営管理に至る様々な部門責任者歴任。

2019年、株式会社エクサウィザーズへチームで参画。CareTech部門にて、ユマニチュード研修事業、在宅介護者支援プロジェクト、介護現場革新に関わるケアイノベーションコンサルやプロダクトR&Dに従事。


超高齢社会・多死社会の先にあるのは「人が人を忘れる時代」

「CareWiz 話すと記録」は、エクサウィザーズが2021年4月にリリースする新プロダクト。介護現場の記録作業をスマホの音声入力でサポートし、記録確認・申送りを簡易にする。実際に記録自動化により、スタッフ1人あたり「1日40分の時間削減」を実現している。このアプリ、介護業務効率化がゴールではない。

「ご本人、ご遺族、介護者が、人生を振り返ったときに自己肯定できる世界をつくりたいんです」

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プロダクトオーナーの結城さんは、熱のこもった声で続ける。

「超高齢社会の日本が次に迎えるのは多くの人が亡くなる“多死社会”と言われています。そうすると、その次には“人が人を忘れる時代”が訪れるでしょう。高齢者の死の増加や核家族化、人間関係の希薄化などがそれを助長すると考えています。

現在、孤独死も大きな社会課題の一つとして捉えられていますが、孤独の前には孤立があると言われています。もし、人と人のつながりが薄れ、人が人を忘れるのが当たり前になってしまったら、孤立する人も増えてしまう。

それを防ぐために、故人に感謝したり『これでよかった』とご遺族・介護者ともに自己肯定できる、人とつながっているんだと感じれる状態を作りたい。これが『CareWiz 話すと記録』で成し遂げたい世界なんです」

長寿と言えど、寿命が尽きないわけじゃない。高齢者が多い日本で迎えるであろう「多死社会」で、介護者、本人、遺族が介護に追われる姿は想像に容易い。

「介護は上っ面な覚悟で挑んじゃダメなんです」

そんな彼のキャリアのスタートは「半導体」。「介護」とは無縁だった彼が「上っ面な覚悟で挑んじゃダメ」と覚悟を決めるきっかけは何だったのだろうか。

超高齢社会のリアルと、介護事業に生涯を捧げる覚悟

結城さんは伊勢志摩出身、両親は専業農家だ。大阪工業大学へ進学ののち、半導体に興味をもち、半導体商社のリョーサンを経て、2008年3月にパナソニックに入社。一時は半導体部門にて、デジタルAV等の商品企画、ソリューション営業のマネージャーをしていた。

「僕は自己紹介の時に『人と人を結ぶ城と書いて、結城です』とよく言うのですが、半導体に興味を持ったのは人と人の距離を縮められる可能性があったから。

半導体が進化すれば、音楽や映像、写真などをより早く、より高解像度で届けられます。それによって、思い出や知識が共有されて、人と人のつながりを強くできると思っています。僕はそれがやりたくて、パナソニックで半導体事業に関わっていました」

パナソニックでの半導体事業が事業再生に向けた岐路を迎えていたとき、「自ら挑戦する姿勢を後輩たちに率先して見せたい」という思いから海外事業開発参加。インドでの遠隔医療と教育プロジェクト立ち上げのために、現地へ赴任した。そこで目の当たりにしたのが、核家族化が進んだインドの介護事情だった。

「2013年当時、インドの人口13億人のうち1億人が60歳以上で、平均寿命が68歳。その結果、インド全土では、親を介護をしたいと思う人の割合がどんどん増えていました」

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(インドに赴任していた時の写真)

日本でなくインドで介護のリアルに直面した結城さん。「介護は日本だけではなく、今後世界の課題となるだろう。挑むなら、生涯を捧げる必要がある」と覚悟を決める。

とは言え、これまでのバックグラウンドは半導体。介護に精通していたわけではなかったため、現場の事情を理解し、経験値を詰む目的で介護領域の新規事業だったパナソニックエイジフリーに出向し、介護施設の立ち上げを担当した。

パナソニックエイジフリー在籍時、結城さんは自分の介護に対する認識を大きく変えてくれる人と出会う。現在、エクサウィザーズCareプロダクトグループに所属する、秋葉美央さんだ。「介護者が、ご利用者に対して、常に快適が実感できるサービスし続けることと、不快(苦痛)なサービスであると介護者が気づくことの難しさを、現場に入ったことの無い人間が感覚で判断してはいけない」と気づかされたことは、大きな学びだったという。

「人手不足により、業務の効率化が求められる中で、介護者が何をすべきかすべきでないかを『自分がされて嫌なことはしない』といった感覚的なものだけで決めようとしてはいけない。一人ひとりが科学的根拠から気づきのケアをすべきだという視点にはハッとさせられました」

エクサウィザーズには情熱を形にし、実装できる環境があった

「介護とはのなんたるや」を学んだ結城さんは、フランス発祥のケア技法ユマニチュード(※注1)と最先端技術を掛け合わせた事業を進めようとする。

(※注1):ユマニチュードとは、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケア技法です。 エクサウィザーズはユマニチュードの国内唯一の正規事業ライセンス所有企業です。

しかし、介護の世界を大きく変えようとしたら、パナソニックでは出来なかったため、やりたいことの実現は困難を極めた。そんな折に出会ったのがエクサウィザーズだった。

「パナソニックで行われた講演会に、エクサウィザーズが介護×AIの領域で事業を推し進めていると知りました。直感的に『世の中を変えるには、ここしかない!』と思いました」

すぐに面接を取り付け、あれよあれよと入社を決めた結城さん。「どちらかというと『エクサウィザーズの介護事業には僕が必要』と押し売り的な感じでしたけれどね」と当時を思い出し、笑う。

2019年4月にエクサウィザーズへ入社し、複数の事業に携わったのち、2020年7月から、「CareWiz 話すと記録」の事業開発を担うプロダクトオーナーを担当している。

CareWiz 話すと記録_プレスリリース画像1 (1)

介護領域における音声記録アプリは他にも存在する。その中で、エクサウィザーズで開発する強みは何なのか。

「『CareWiz 話すと記録』チームには、ビジネスサイドと開発サイド、双方にプロフェッショナルが集まっています。ビジネスサイドには私や秋葉さんのように介護領域で経験を積んできたドメインスペシャリストや厚労省や業界団体とつながりのあるメンバーもいます。そのため、世の中の流れと現場のニーズを最先端で捉えながらプロダクトの展開ができる。

開発サイドには、メルカリでプロダクトのグロースを担当してきたプロダクトマネージャーの宮田さんと、デザイナーの佐久間さん。そして、自然言語処理のスペシャリストの大西さんやフルスタックエンジニアが揃っています。ここには、思いがあればそれを実現できる環境があるんです」

宮田さんの誕生日会4

(宮田さんの誕生日をお祝いした時の一コマ)

介護を含む社会課題で忘れてはいけない「人と人のつながり」

「CareWiz 話すと記録」はケアコネクトジャパンが提供する、全国12,000の介護サービス事業所・施設や障がい福祉サービス事業所で導入されている介護記録・請求ソフト「CAREKARTE(ケアカルテ)」との連携が実現している。

これまで「人と人をつなぐ」を軸にさまざまな事業に向き合い、今は介護領域に関わる結城さん。そんな彼が持つ介護への意気込みには並々ならぬ熱量がある。

「何度でも言いますが、介護は上っ面だけじゃできない事業です。自分なりの哲学みたいなものがないと、他の介護事業者は相手にしてくれない。それくらい、人を診る事業でもあるんです。決して簡単な領域ではありませんが、僕なりの哲学を持って挑んでいこうと思っています。それこそ、介護保険制度にアプローチして社会の仕組みを変えるようなこともしていきたい」

「人と人を結ぶ城と書いて、結城」と名乗り続ける彼は、「CareWiz 話すと記録」を通じてどんな新しいつながりを結んでいくのだろうか。

「僕の親は目の前の人への感謝やつながりを忘れない人です。その遺伝子が僕にも回ってきているのか、つながりを重視するのは当たり前のことなんですよね。だから、介護領域に挑むのも人のつながりをつくるという側面で当たり前のことなんです。大きなことを言うようですが、世の中を背負っている、そんな心持ちで社会課題に挑み続けたいです」

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文:福岡夏樹 編集/写真:稲生雅裕

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