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IR活動の変革をAI技術で推進し、株主総会の新規サービス創出を実現

エクサウィザーズの2022年アドベントカレンダーの1日目の記事です。

エクサウィザーズのアドベントカレンダーが今年も始まります!今年のテーマは「 #社会課題解決に向けた現在地点 」です。エクサウィザーズの取り組みや事業の方向性などを各部署のメンバーが記事を通じてご紹介します。私たちがどのような思いで社会課題の解決に取り組んでいるか、どこまで事業が進んできているのかを知っていただき、少しでもエクサウィザーズに興味を持っていただけたらと思います。

はじめに

こんにちは、エクサウィザーズのIR部、部長の神山です。
私はコンソールゲーム、通信キャリア、人材・販促支援など比較的大企業でIR・広報・経営管理などに従事したのち、縁あって2021年にIPO準備の段階から当社に入社し、上場後はIRを担当しています。

入社のきっかけは、職探しを始めた際に社長室長の河井さんにお声がけ頂いたことでした。リクルートHD時代には私がIR、彼がゴールドマン・サックスの投資銀行部門のバンカーとして一緒に案件を手掛けました。この過程で互いの業務スタイルを熟知していたため、自分の理想のIRを推進できそうだと確信を持ち、入社に向けて舵を切ったことを思い出します。今では共に資本市場で戦う、心強いパートナーです。

さて、今回はエクサウィザーズのIR業務を簡単に説明しつつ、専門職であるIRに対してAI技術をかけ合わせた事例をご紹介し、当社の横連携の取り組み、幅広いコーポレート業務の革新可能性などを感じていただければと思います。

エクサウィザーズのIR(投資家向け広報)について

まず、IRとはInvestor Relationsの略、日本語では投資家向け広報とも訳されることが多い、主には上場企業やIPO直前の企業に存在するレアな職業です。

IRをご存知でない方が大半と思いますので、「そもそもなぜIRが必要なのか」を掻い摘んで申し上げると、株式を東京証券取引所等に上場した企業は、株式市場を通じて資金調達が容易になることと引き換えに、投資家が十分な投資情報を得て合理的に投資判断を行えるよう、適時適切な情報開示を行う義務を負います。対外的にこの義務、そしてその最低限の義務を超えてより適切に会社を理解いただくため、様々な資料・情報・データを用いて対外的に説明を行う責任を担うのが、IRです。

当社としてのIR活動は、当社経営陣のスポークスマン、あるいはアンバサダー(大使)として、一方的な情報開示にとどまらず、投資家との活発な対話を通じて、資本市場からの適切な理解・評価を得ることを目的として推進されています。

このようにIRは金融証券取引法(金商法)・会社法等の法令、東証上場規則等に規定される中での業務であるため、かなり「お固い」「厳密な」仕事ではあるのですが、そういった規制の枠組みの中でも、いかに業務を革新できるかという観点から、今回私がエクサウィザーズに所属していたがゆえに達成できた事例をご紹介しようと思います。私もキャリアの中心として長らくIRを担当してきましたが「自前で新しいサービスを作る」というのは初でした。この取組をサポートいただいた皆様に感謝を申し上げます。

AIでIR業務課題を解決する

当社は「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げて事業展開を進めています。その過程で当社のAIプラットフォームexaBaseには多様な機能をもったAIコンポーネント、AIプロダクト、知的財産とノウハウが蓄積され、当社の競争力の源泉になりました。このストーリーは代表取締役社長の石山さんの説明動画に詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

ところで、このAIコンポーネントは外部向けビジネスとして利用するだけでなく、もちろん社内業務にも活用可能です。当社は「Pjt ユニコーン」と称して、挑戦する土壌・創業メンタリティをもって、各自の業務改善やイノベーションを起こす動きを奨励する社内活動を推進しています。その中では社内の各種ソフトウェア資産を用いた業務内製化が、活用検討の俎上に多く載ります。(なお、「Pjt ユニコーン」についてはこのアドベントカレンダーの後半で詳しくご紹介頂く予定です)

では、「IR業務×AI技術」と設定してみると、何ができるでしょうか?
IR経験者であれば、これは興味深い、魅力的なアジェンダだと思います。

多くの会社では、AI技術資産は他社にコストを支払って借り受けるもので、当然に内在するものではありません。またコンサルタント・AIエンジニアに付いてもらい、テイラーメイドでAI導入を企画するとなると、相当程度、予算枠の確保が必要になります。(皆様の所属部門の年度予算で、業務改善活動に対してどの規模で予算を確保できているか…。)

当社保有の「exaBase」というAIプラットフォームを用いて、私がまず着手したのは、株主総会での質疑応答システムの内製化でした。

プロダクトマネージャー、エンジニア、IRの協働作業で、株主総会QAシステムをローンチ

【株主総会QA運用システムの一例】

株主総会は、会社法に則り適正に運営されることが極めて重要なイベントです。上程議案の審議にあたって、質疑応答を通じた株主様との直接の議論に可能な限りご対応し、充分な質疑を行ったと判断される必要があります。このため株主総会事務局としては質疑応答時間で想定しうる様々なQAや対応マニュアルを準備し、現場において即座に株主総会総会議長に情報伝達し、議長がこれを参照しつつ丁寧にご対応します。

このように厳密・即時の水準を担保する総会運営が求められるため、「株主総会運営システム」が既存のサービスとして販売されています。私も以前の会社ではこれを用いていたのですが、これらはシステム調整の自由度は低く、検索は手元Excel上で行い手書き情報をOHPで照射する、独自のハードウェア一式のレンタルも必要、さらに一式フルサービスで400~500万円程度と高額でした。

一方で、来る2022年6月、当社の初の株主総会を控えてロジの座組を検討する際に、他社システムの導入ではなく、可能な限り軽くて業務上使い慣れたシステム、さらに社内のリソースを活用して内製化できないかな、と考えておりました。

この中で当社のプロダクトマネージャーとして祖父江さん、エンジニアとして池さん、企画と現場ユーザーの立場として私が小さなチームを組み、当社が事業として手掛けるAIプロダクト案件の導入プロセスが、社内で進行しました。

大枠として、質疑応答では自然言語処理技術を搭載した「exaBase FAQ」※と、社内のデフォルト業務ChatであるMicrosoft Teamsをベースとして、株主総会用に調整する座組としました。

構成としては、まず当社プロダクトである「exaBase FAQ」に総会QAのデータベースを構築します。当日の現場では、株主様の質問に応じて事務局担当者がクラウド上にある「exaBase FAQ」を検索し、Chromeの拡張機能を用いて、議長が手元で確認できるMicrosoft Teamsの任意のスレッドに即時投稿する、その際に質問と回答に応じて記述フォントを出し分け見やすさを担保する、というものです。

おおよそ他社のシステムの機能を網羅し、しかもベースはMicrosoft Teamsですので自由にコメントを追加できるため、むしろ既存の専用製品よりも柔軟性が確保できるシステムとなりました。

※「exaBase FAQ」の特徴として、文章の意味による検索ができる"文脈検索アルゴリズム"があります。質疑応答という1分1秒を争うオペレーションが求められるなか、検索キーワードに依存することなく高度な検索体験を実現することができるシステムです。

得られた成果

このIR活動×AI技術のチャレンジで獲得した主なものは下記となります。

1.外部に委託すると数百万かかるQAシステムを内製化し、来期以降も含めて長期的なコスト低減が見通せた

2.当社の新たな事業資産となるため、「exaBase FAQ」の新たなソリューションとして外部販売に向けて提案中

3.当社事業が得意とする、「小さく作り、超高速で検証サイクルをまわしていく」アジャイル開発を身をもって体験できた

コーポレート部門はコスト部門と言われがちではあるのですが、社内リソースの活用によるコストの低減と、新規サービスとしてトップライン(売上高)へつながるプロダクト開発に貢献できました。

そしてIRとして、より自社事業・サービスに対する理解と強い確信をもって投資家との取材に臨めるという、非常に得難い機会となりました。この案件ではチームで方向性を固め、実質的に力を入れて作り込んだのはおおよそ1ヶ月程度であったと思います。これまでユースケースがないものでも、この短期間で実装に至る、「自前で新しいサービスを作る」というのは、やはりエクサウィザーズが持つ技術アセットとスタートアップらしい企業文化があればこそだと体感できました。

当社IR部の目指すところ

このように、当社IR部(あるいはコーポレート各部門)は一般の事業会社IRと異なり、AI技術、コンサルティングリソース、デザインスキルを後ろ盾に、自分の業務をAI技術の掛け算で革新する機会を得られます。

急成長を続ける強靭な事業・技術部門、変わりゆく組織とステークホルダーの要請に応え基盤を変革するコーポレート各部門、そしてこの社内の膨大な資産。

IR部はこのような業務環境で関係者と協働し、東証プライム市場の大企業が推進するIR活動に比肩する質量の開示を実現することで、資本市場から信頼されるIR体制を組み上げてまいります。

終わりに(新規メンバーの募集について)

現在IR部では上記のような遠大な目標に向けて、一緒に業務を推進して頂けるメンバーを募集しています。詳細はこちらの募集要項をご確認下さい。
(未経験の方でもIRについて学びたい!という意欲をお持ちの方は歓迎です)

当社におけるIRは昨年(2021年12月)に立ち上がったばかりで、この記事の公開でちょうど1年経過という所で、今回このアドベントカレンダー記事の機会を得ました。IR部は組織としても、業務プロセスや展開も、まだまだ新しくやりたいこと、整備していきたいことにあふれています。共にこのスタート直後の状態を楽しんで、会社、組織、そしてIRプロフェッショナルとしての自身の成長を体感したい方をお待ちしております。

まずはカジュアル面談を申し込みたいという方はこちらから。

2日目は人事統括部の半田頼敬さんです!

みんなにも読んでほしいですか?

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