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すべての子どもが自分らしく学び、成長していくために 自動写真サービス「とりんく」で挑む新たな教育データの利活用とDX化

エクサウィザーズの2022年アドベントカレンダーの12日目の記事です。

こんにちは、社長室の生田です。私は、約3年半前に文部科学省からエクサウィザーズにやってきました。それ以降、主に「公共・スマートシティ」分野を切り口とした社会課題解決に関わる取組・プロジェクトに参加しているのですが、やはり、思い入れの強い「教育」に関わるサービスの開発にも携わりたく、エクサウィザーズのグループ会社である「Vizion Wiz」の自動写真サービス「とりんく」の開発・展開にも参加させていただいています。
 
今回は、この「とりんく」が実現する価値創出の在り方や、将来的に目指しているゴールなどについて、みなさんに是非知っていただけたらと思います。   

保護者がいない時・場所でも子どもの姿を〝見られる・知れる〟 

「とりんく」は、一言で言うと、「保育園や幼稚園の時間の子どもの様子・姿を教えてくれる自動写真サービス」になります。保育園や幼稚園での子どもの毎日の様子を撮影し、AIによって自動整理・編集した写真画像をユーザーにお届けします。
 
ユーザーに届く写真画像は、瞬間ごとに移り変わる子どもたちの自然な様子・姿をとらえたものであるだけでなく、私たちが独自に開発した満面の笑顔の瞬間や、思いがけない発見をした時などに見せる表情など、いわゆる〝いい写真〟を選別するAIアルゴリズムによって抽出したものです。
 
このため、実際に届けられた写真をご覧になったユーザーからは、お届けする写真画像の量の多さや、種類の豊富さに対する満足の声だけでなく、「自然な我が子の姿が見たかった」「こういう写真が欲しかった」といった声をいただくなど、独自の付加価値を提供する写真サービスになっているものと自負しています。引き続き、ユーザーに対してしっかりと「子どもの毎日の姿」を記録し、より鮮やかに届けていきます。 

保護者・保育者が持つ共通した「思い」と課題感

「とりんく」のサービス開発・展開にあたり、たくさんの保護者のみなさまだけでなく、幼稚園・保育園で働くみなさまからご意見をいただきました。まだまだ私たちは、その中で得た「気づき」の全てをサービス開発・展開に活かしきれているわけではありませんが、可能な限り、サービスにおいて実現・実装を進めていきたいと考えています。
 
こうした気づきの1つに、「保護者」と「保育者」とが、共通して抱く思いがあります。それは、「子ども・我が子が持つ個性を大切にしながら、この子らしく成長してもらいたい」という願いです。 
 
私にも幼稚園に通う息子がいるのですが、やはり親としては、「何でもいいから、自分の一番〝好きなこと・楽しいこと・得意なこと〟を見つけて、この子らしく成長して欲しい」と感じます。
 
しかしながら、その後にこうも思います。「この子は幼稚園では一体何をして遊んでいるんだ?」「お友だちとはどんなふうにやり取りをしているんだ?」「幼稚園での工作などの時間はどんな感じで取り組んでいるんだ?」そして、「こうしたことを知りたいけど、どうすれば良いのだろう?」と。もちろん、担任の先生などから面談等で聞くことができる部分もありますが、どうしても、想像力が足りない(笑)自分では、息子の具体的な姿・行動を思い浮かべることが難しく感じてしまいます。 
 
他方、私たちが行ってきたヒアリングなどから、実は幼稚園・保育園の保育者も角度は違いますが、本質的には同じ課題感を感じていることがわかってきました。それは、「保育者も子どもの姿・状況を具体的に把握した上で、保護者等に伝えることは困難な場合がある」ということです。
 
「集団保育を行う中では保育者は忙しく、一人ひとりの子どもの様子を見切れない時がある」、「記憶に残る姿・イメージが正確とは言いきれない」「業務が忙しく記録に残せないため、時々の子どもの姿は時が経てば忘れてしまう」、「保護者等に子どもの様子を伝えようとしても、言葉やテキストだけでは上手く伝えられない」などといった声が聞かれました。

個人的には、保育者がただでさえ、預かった「子どもの安全を守りながら保育を行う」という状況の中では、それはとても大変なことであると感じます。 

「とりんく」で保護者と保育者の思いをつなぐ

私たちは、こうした状況が「とりんく」を使うことで解決できればと考えています。前述のように、「とりんく」では、子どもの様子・姿を詳細にとらえることが可能です。そして、大量に撮影された写真画像から〝いい写真〟を選別し、ユーザーにお届けしています。
 
我々はこの撮影される写真画像をAIでより詳細に解析することにより、一人ひとりの「集中している姿・対象」「敏感期の到来・発達の状況」、「具体的な行動の傾向・高活動性」、「お友だちや保護者との関わり方」などについて、これまでは実現できなかった水準で可視化・記録をするだけでなく、画像記録に基づいた保育者の指導計画の立案・振り返りの実現、より充実したポートフォリオや卒業アルバムの作成、そして、保護者に対する詳細な継時的成長レポーティングなどを支援したいと考えています。
 
当然のことながら、こうした事項は根拠のある関連科学の成果等に基づいて進めるべきですが、私たちは関連の有識者との緊密な連携を図るだけではなく、社内に設立された「とりんく教育研究所」を主体として、独自の検証・研鑽を今後とも深めていきます。 

子どもの「個性」を中心にした「学び」と「成長」のための社会を創るために

少し将来的な話にはなりますが、これまでに述べた内容に留まることなく、「とりんく」によって可視化される一人ひとりの子どもの「様子・姿」を、誰もが生まれながらに持つ「学習面や対人面等での個性」に対する深い理解につなげたいと考えています。
 
例えば、ある子どもに「幼稚園・保育園でブロック遊びに集中していた」ということが確認されたら、(発達段階の違いなど他に考慮しなければならない事項はありますが、)ブロック遊びと似たようなアクティビティによって、「算数・数学等において求められる図形やグラフなどを正確に読み取るための空間認識・認知能力がどのように向上するか」を測ることが、その子どもにとって一番適切なアプローチかもしれません。
 
また、話が大きくなってしまいますが、国の中央教育審議会において、2021年3月に取りまとめられた「令和の日本型学校教育」の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)の中で示されている「個別最適な学び」の実現にとっても、こうした早期での学習個性等のアセスメント(データ)がその基盤の1つとなり得るものと考えています。 
  
今の子どもたちは、益々複雑化していく社会で生きていくことになる可能性が高いと予想されます。そして、世界中の人々、地域、ビジネス・産業活動、コミュニケーション空間、知的活動等が繋がり合うがゆえに、自分の考え・行動が、(望むと望まざるとにかかわらず)他者の考え・行動の影響を強く受けてしまう、「他律的な世界に生きている」と感じることがこれまで以上に多くなるかもしれません。
 
だからこそ、「誰もが自分の個性が求める〝学び〟と〝成長〟とを選択できる」ようにしていくべきだと思います。そして、その実現を支える社会を創る必要があり、そのための教育におけるデータ利活用・DXであるべきだと感じます。
 
私たちは「とりんく」を通じて、そんな社会創造の最初の一歩となるべく取り組みを進めています。もし、ここまで読んでくださった方の中に同じ志を持つ方がいらっしゃいましたら、一緒に挑戦をしていく仲間になって頂けると幸いです。 

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13日目は技術統括部の小野晃司さんです!

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