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今日から始まる上場後のエクサウィザーズ

この記事は、エクサウィザーズアドベントカレンダー23日目の記事です。

上場はエクサウィザーズの「第3の創業」

本日、2021年12月23日、東京証券取引所マザーズ市場に上場致しました。

会長の春田さんが撮影

今回の上場にあたって、社内では我々にとって3回目の創業になるという話をしています。

1回目の創業は、エクサウィザーズの母体となっている2つのベンチャー企業の創業、すなわち、会長の春田さんが設立したエクサインテリジェンス社と、静岡大学発ベンチャーのデジタルセンセーション社のそれぞれの創業です。

2回目の創業は、両社の合併による現在のエクサウィザーズの誕生。そして、今回の上場が、3回目の創業という位置付けになります。

上場までの道のりについては、既にこのアドベントカレンダーで多くのメンバーが解説してきてくれているので、私からは第3の創業をテーマに「今日から始まる上場後のエクサウィザーズ」について詳しく解説していきたいと思います。

第3の創業は「Wizards」から「Base」への進化

皆様は上場というとどんなイメージをお持ちでしょうか。

私は漫画が好きなので、仕事の合間に漫画を読みながら、上場を漫画に例えるとどんな感じなのか想像していました。

最初にイメージしたのは『ONE PIECE』のグランドライン(偉大なる航路)への船出です。新たな旅に出るというか、これから本番の勝負が始まるというか、そんな気分になるのかなと思っていました。実際に「いよいよ、グランドラインに出るぞ」というような例えも会議中に使っていました。

ですが、実際に上場準備が進んでいくと、どちらかというと『BLEACH』の「卍解(ばんかい)」のようなものとして感じるようになりました。つまり、『ONE PIECE』のような「新たな旅に出る」というステージの変化というよりは、『BLEACH』のような「自分自身のサービス(斬魄刀)が強化されていく」という感覚に変化していったのです。

第2の創業でサービスをつくり始めた0→1が始解、第3の創業でサービスが1→10になるフェーズが卍解です。卍解を発動する際、斬魄刀の名前を呼ぶことで平時は封印してある力を解放することができます。

今年の8月、エクサウィザーズではこれまで開発してきた様々なAIのコンポーネントを、AIプラットフォームの「exaBase」に統合しました。現在、国内時価総額トップ100社の半数以上を含む500社超の企業が「exaBase」を活用しておりますが、普及が進むにつれ、「Exa”Wizards”」という優れた人の会社としての呼ばれ方が、「exa”Base”」という優れたサービスとしての呼ばれ方に変化してきました。

具体的には「成長可能性に関する説明資料」の中で、AIプラットフォーム事業の成長戦略として、下記のような「exaBase」の進化を掲げています。現在は真ん中で「卍解」をしている状態です。

AIプラットフォーム事業の成長戦略

以上のように、第3の創業のスローガンは「優れた人の会社から、優れたサービスの会社へ」であり、今回の上場によって得られた40億円超の資金を「exaBase」やサービス開発に投資していくことになります。

進化するProblem Solution Fit

2017年のエクサウィザーズ設立当時、エンジニア採用に関してCTOの「T」って何を指すの?フルスタックって何を指すの?という議論をしていた時期がありました。AIネイティブな会社になると、CTOの「T」にはソフトウェア・エンジニアリングやコンピューター・サイエンスを超えて様々な意味の「T」が入ってきます。

例えば、創薬AIになればバイオも知らなければいけない、ロボットAIになればハードも知らなければいけない、というような話です。実際、私自身も「えっ、フロントエンドとバックエンドだけできたらフルスタックでは無かったのか!」ということに、エクサウィザーズの社長になってから気づきました。

当然、こうしたエンジニアリングの変化に応じて、世界のプロダクトマネージャーに期待される役割も変化してきている印象があります。AIドリブンなサービスの印象としては、インターネット系ではGoogleのような検索系のプロダクトを想起しがちですが、上記の創薬やロボットのような広がりを見せています。

これは、データでマネジメントできる課題の対象が、Physical→Biological→Chemicalと不安定な世界まで広がってきており、AIの活用事例として有名な自動走行だけでなく、Food Techや脱炭素までProblem Solution Fitできる時代になってきたからです。

例えば、AIネイティブな会社の代表に「DeepMind」があります。DeepMind社がつくっているプロダクトといえば、囲碁AIと想起される方もいるかもしれませんが、実は、現在は下記のような風力発電の課題解決にもAIを応用しています。

つまり、SolutionとしてのAIの進化によって、Problemが脱炭素のようなマクロな社会課題まで広がってきた訳です。

PMが解くべき現代のProblem①: Planetary Boundaries

さて、これからのプロダクトマネージャーは、どのようなProblemに取り組んでいくべきでしょうか。現代社会のマクロな課題のトレンドは2つあります。

その1つ目は、Planetary Boundariesのような環境問題です。

Planetary Boundariesとは、人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を定義する概念である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

以前、IDEOのChief Creative OfficerだったJane Fulton Suriさんの講演を聞いた際、彼女は「人間はアロガント(傲慢)だから、Human Centered Designという表現をやめて、Inspired by Lifeのようなスローガンが良いのではないか」と話していました。

プロダクトマネージャーというと「カスタマー・ジャーニー」や「UX」のキーワードを良く活用しますが、実は「カスタマー自体が傲慢だから、地球が壊れそう」というもう一つの問題が、私たちの日常に横たわっています。現代では、カスタマーとは人という概念を超え始めているのかもしれません。

スペキュラティブ・デザインでも有名な英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのアンソニー・ダンさんらが提唱したマニフェストでも「Consumer」から「Citizen」へという流れを提唱しています。

プロダクトマネージャーに期待されている役割も「コンシューマー・ジャーニー」から「シティズン・ジャーニー」へと時代の流れとともに変化して来ているのかもしれません。人には様々な役割があり、どの観点で課題を深ぼるのかが徐々に変化してきているのです。

PMが解くべき現代のProblem②: Well-being

では、現代社会のマクロな課題のトレンドの2つ目は何でしょうか?

それは「Well-being」です。現在、世界のコンピューター科学やインターネット界のリーダーたちもWell-beingの問題に立ち向かっています。

例えば、Googleの創業者のセルゲイ・ブリンさんは、ASAP( Aligning Science Across Parkinson’s )というパーキンソン病対策のプロジェクトをノーベル生理学・医学賞の受賞者らと立ち上げました。また、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール国際経営学教授のマウロ・ギレンさんは、著書『2030』の中で、2030年には世界の人口のボリュームゾーンが60代になると言っています。

このグローバルなメガトレンドの中、特に、日本は世界で一番最初に超高齢社会を迎えているため、その課題解決への期待が世界からも注目されています。

AIによる社会課題解決の民主化

エクウィザーズでは、Planetary BoundariesやWell-beingに代表されるような地球規模の社会課題を解くサービス開発に取り組んでいます。

例えば、科学的介護をAIで支援する「CareWizシリーズ」では、①AIによる歩行解析を利用し、動画を撮るだけで高齢者の方の身体機能の改善ポイントを提案してくれる「トルト」や、②AIによる音声解析を活用し、話すだけで介護記録の蓄積ができる「ハナスト」等をリリースしています。

AIプロダクト(介護領域)における成長戦略

「ハナスト」では、音声解析の精度が98%を超えると、介護施設における一人あたりの生産性が1日40分改善することが分かっており、その結果、残った40分を活用することでのケア品質の向上→認知症の行動心理症状の改善→ADL(日常生活動作)の改善→介護度の改善→社会保障費の持続可能性の向上といった波及効果が生まれます。

このように現代では、ミクロなSaaSメトリクスとマクロなSDGsのデータの連鎖をAIで追いかけることができるようになっています。その結果「AIによる社会課題解決の民主化」を実現できるようになりました。

第3の創業のメンバー募集

エクサウィザーズでは、調達した40億円超の資金を活用して、「exaBase」や「CareWiz」、そして新たなサービスを開発してくれる仲間や、仲間を増やしていく採用担当も募集しています。第3の創業を一緒に始めましょう、「卍解」!

明日はエクサウィザーズ誕生のアナザーストーリーをお届けします。

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参考資料
・尾田栄一郎『ONE PIECE』集英社
・久保帯人『BLEACH』集英社


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