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研究からプロダクト開発へ 新卒AIエンジニアの挑戦

このアドベントカレンダー(概念)は、株式会社エクサウィザーズの子会社であり、生成AIサービスの開発や販売に特化した株式会社Exa Enterprise AIについて、各メンバーがリレー形式でそれぞれのミッションや想いについて執筆をするものです。

今回、新規事業・exaBase 生成AIがサービスリリース開始1年でARRが約9億円規模に到達し日本屈指のスピードで成長するSaaSとなったこと、そしてデロイト トーマツ ミック経済研究所の「法人向け生成AI導入ソリューションサービス市場動向  2024年度版」に関して2023年度のマーケットシェア1位を獲得したという、2つの素晴らしい成果も祝して、各メンバーが記事をお届けします。プロダクトやメンバーの魅力をより多くの方に知って頂けましたら幸いです。

前回の記事では、採用部の高松さんの採用への想いに関する記事でした。今回はAI戦略グループ MLエンジニア部の藤田が担当し、新規事業の開発秘話等を執筆させて頂きます。

株式会社Exa Enterprise AI AI戦略グループ MLエンジニア・藤田 綜一郎

エクサウィザーズとの出会い「AI技術の社会実装への道」

私は、2023年10月に新卒でエクサウィザーズに入社しました。それ以前は、東京工業大学で博士課程まで5年間、主に自然言語処理の研究に力を注いできました。

具体的な研究テーマとしては、ニュースサイトに掲載されたコメントのランキングや、YouTubeなどの動画から一連の流れを自動で説明するマルチモーダルなキャプショニングタスクに取り組んでいました。これらの研究成果は、自然言語処理の国際会議ACLや画像処理の国際会議ECCVで発表する機会を得ました。

学生時代には、企業とアカデミアの両方でインターンシップを経験しました。これらの経験を通じて、AI技術の社会実装に強い関心を持つようになりました。そして、半年間のエクサウィザーズでのインターンシップを経て、AI技術の実用化に取り組むエクサウィザーズに正式にジョインする決心をしました。

Exa Enterprise AIのAI戦略グループで、プロダクト横断でAIを中心にフロントエンドやバックエンドにも携わる、いわば"何でも屋"のような仕事をしています。

エクサウィザーズに入社する前は機械学習一筋で、フロントエンドなどはほとんど触れてこなかったのですが、入社後はフルスタックに働く機会が増えています。

私の仕事は大きく2つに分けられます。1つ目は新規プロダクトの種を作るためのMVP(最小機能製品)の作成。2つ目はexaBase IRアシスタントの既存機能の改善や音声議事録機能の新規開発です。

最近では、エクサウィザーズ社内のカジュアル面談支援チャットボットのMVPを作成しました。過去にはボツになったMVPもありましたが、このチャットボットは8月中旬に無事リリースされ、エクサウィザーズの採用ページに掲載されています。興味があれば、ぜひ触ってみてください!

自己研鑽は最強の武器:日々の積み重ねが業務を加速

IRアシスタントの開発において、私が直面した主な課題は技術的側面よりもむしろ要件定義の面でした。私が入社した時はちょうどexaBase IRアシスタントリリース直後でした。当時のexaBase IRアシスタントには株主総会向けのQ&A機能しかなく、決算発表時には必要でしたが、日常では使う機会の少ないものでした。

より普段のIR業務で活用いただくために、投資家とのコミュニケーションを記録し活用する議事録機能の開発に携わりました。PdMやIR部などビジネスメンバーと、「どういう入出力があるとユーザーにとって良いか?」「どうすればIR現場で使われるか?」を突き詰めて考え、何度も検証を重ねました。

その結果、無事リリースされた後は、議事録の使い勝手やまとめ方の良さでIRアシスタントを契約いただく会社が多く、非常にありがたい限りです。リリース後も、ユーザーインタビューなどを通して継続して改善を進めています。

また私自身生成AI市場の急速な変化に追いつくため、毎朝キャッチアップのための時間をカレンダーに予定として入れ、継続的な情報収集を欠かさないようにしています。

しかし、最近のAI市場の動向は非常に流れが早く、技術やプロダクトなど、キャッチアップすべき情報があまりにも多いため、一人ですべてを追いかけるのは難しいのが現状です。そこで、私は主に研究論文の情報を追うことに注力し、専門性がなくても追いやすい生成AIプロダクトの情報は他の人から聞くようにしています。この方法により、より広く情報を収集できるようになりました。

また、新しい技術に関しては、実際に触れてみることを大切にしています。「百聞は一見に如かず」という言葉の通り、まずは新しい技術に触れてみることで、伝聞ではなく自分の経験として知識を得ることを意識しています。このように自ら体験した生きた知識として蓄えておくことで、業務により効果的に活かせると考えています。

研究経験がプロダクト開発に活きる。体系的アプローチの力

AIの専門性はもちろん、研究活動を通じて身につけた体系的アプローチ、批判的分析、継続的な学習習慣がプロダクト開発に活きていると感じています。

入社してから面白く感じたのは、研究開発とプロダクト開発のアプローチがかなり似ているということです。両者の大枠をざっくり4つのステップに体系化すると、以下のように類似したプロセスが見えてきます。

研究開発:

1.関連研究調査
2.仮説の考案
3.実証実験/評価
4.論文発表

プロダクト開発:

1.市場調査
2.ソリューション考案
3.プロダクト作成
4.リリース/マーケティング

これらのプロセスは密接に絡み合っており、初めの調査段階からリリースやマーケティングを見据えた広い視野が必要です。研究開発でも同様のプロセスを踏んでいるため、プロダクト開発が非常に肌に合うのだと思います。

一方で、AIの専門性をフルに活かせていないと感じる部分もあります。現在のAIプロダクトでは、従来の機械学習モデルや知見を一部活用していますが、プロダクトとして運用する際には、ChatGPTやClaudeなどの既存モデルを利用する方が開発スピードや運用コストの面で有利なケースが多いのです。そのため、自作のモデルを採用する機会が少なくなっているのが現状です。

しかし、この状況も変わりつつあります。最近、OpenLLMの性能向上が著しく進んでおり、エクサウィザーズでも今後はタスクに特化した独自のLLM(SLM)が重要なソリューションになると考えています。これにより、AIの専門知識をより直接的に活かせる機会が増えてくるのではないかと期待しています。

研究からビジネスへの転身は、私にとって視点の拡大になったと感じています。研究で培った深い専門性と、ビジネスで求められる広い視野を組み合わせることで、より革新的なソリューションを生み出せると信じています。

今の私の働き方を生成AIにイメージして作ってもらいました!

「Ankakeちゃん」誕生、カジュアル面談チャットボットの開発秘話

入社後、一番テンションが上がったのは、カジュアル面談チャットボットのリリースです。私たちのチームでは、このチャットボットを「Ankakeちゃん」と名付けて、愛着を持って開発を進めてきました。

Ankakeという名前には、ちょっとした裏話があります。キックオフミーティングで「Aから始まるコードネーム」を考えていた時、私がふと「あんかけうどん」が食べたくなったんです。その響きの可愛らしさも相まって、Ankakeという名前が誕生しました。(そんなゆるいチームで開発しています笑)

開発は少人数のリーンなチームで行い、私自身がフロントエンド、バックエンド、機械学習の構成や実装の大部分を担当しました。もちろん、全てを一人でこなすのは大変だったので、インフラチームやインターンの方にサポートしてもらいました。この全工程に携わったからこそ、Ankakeちゃんへの思い入れは特別なものになりました。

リリース時の興奮はもちろんですが、その後も社内外からのポジティブな反応や、実際にAnkakeちゃんを通じて面談予約が入った時など、様々な場面でチーム全員で喜びを分かち合っています。

面白いエピソードとして、リリース前にチームメンバーから「プロダクトの呪いにかかることになるよ」と予言されたんです。その「呪い」とは、リリース後の喜びでプロダクト開発がやみつきになってしまうことで、予言通り、私もすっかりその「呪い」にかかってしまいました(笑)。

このプロジェクトを通じて、アイデアから実際のユーザー利用まで、プロダクト開発の全プロセスを経験できたことは、私にとって非常に価値のある経験となりました。Ankakeちゃんの成長と共に、私自身も成長できているように感じています。

エクサウィザーズの魅力は、多様な経験と挑戦の場

現在、私は短期的な成果と長期的な個人的成長という二つの挑戦に取り組みたいと考えています。

まず、目の前の最重要課題は、私がコアメンバーとして開発に携わったプロダクトを事業として成功に導くことです。多くの人々に便利に使っていただける製品に育てあげることが、現在の最優先事項であり、最も挑戦したいことです。

同時に、個人的な挑戦として、「なんでも出来る尖ったエンジニア」を目指してスキルセットを磨いていきたいと考えています。この目標には二つの側面があります:

  1. フルスタックエンジニアとしての成長: フロントエンドからバックエンド、インフラまで幅広い領域をカバーし、プロダクト開発の全工程をこなせる技術力を身につける。

  2. 最新技術の習得: AIの分野は日々進化しています。例えばMulti-modal LLMのファインチューニングなど、最新の専門的知見を継続的に吸収し、業務に活かす。

幅広い技術力と最新の専門知識を組み合わせることで、プロダクトの価値をさらに高め、事業としての成功にも直接的に貢献できると確信しています。

エクサウィザーズは、職種を超えて様々な経験ができる職場です!ここでは、自分の専門性を活かしつつ、新しい分野にも挑戦する機会が豊富にあり、様々な経験を積むことができます。

最後に宣伝ですが、Ankakeちゃん(カジュアル面談チャットボット)を利用してくださる方も、一緒に成功に導いてくれる方も募集しています!エクサウィザーズに少しでも興味を持たれた方は、ぜひAnkakeちゃんを通じてエクサウィザーズ社員と一度お話ししてみてください。きっと、あなたの可能性を広げるきっかけになるはずです。私たちと一緒に、AIの力で社会をより良くする挑戦をしましょう!

次回の記事ではプロダクト開発グループでPdMをされている大平さんの「目まぐるしく変化する、生成AIプロダクトの舞台裏」に関する記事です。お楽しみに!

この記事を読んで、当社に少しでも興味を持ってくださったら、以下のツールからカジュアル面談も可能です。AIのレコメンドに沿って、面談相手を探してみてください。 (AIのレコメンド機能だけを楽しみたい方もぜひ!)


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